001-03
「‥‥じゃぁ、まず魁の食べ物の好き嫌いを根本的に解決するために、今日の昼ゴ
ハンから、魁にはバナナと小ナスの辛子漬けしかあげな~い」
「えぇ~っ! 何だよそれぇ」
「魁は、高いメロンのニオイほど嫌いだから、お母さんと相談しなくちゃ。ワタシ
が言っているのはそういうことよ、魁の心配事は究極的なことなの、わかってちょ
うだいよいい加減」
「わかってないのはdooだよっ。好き嫌いは人の究極的なモノだって、ニュース
番組で言ってたし」
「ヘェ~‥‥ニュースって、どんなぁ?」
「大統領支持派と反大統領派にふりきれちゃってる人たちを、少しでも動かすこと
は、いくら正論を突きつけてもムリ。好き嫌いなんだからどうしようもないって」
「‥‥誰が言っていたの、そんなこと?」
「偉そうなコメンテーターが言ってた。よくわかんないけど間違ってないと思うん
だ」
「昨日の夜、寝る前にTVで流れていたアメリカの選挙のトピックスね。現大統領
が再選するかどうかっていう‥‥でもねぇ、魁の場合は好き嫌いを言えることじゃ
ないの」
「どしてっ? 大統領だって、結局好き嫌いで決まるのに」
「魁に〈嫌いだ〉って言われた子は、どうなっちゃうと思うわけ? その子たちに
は魁と違って、まだワタシみたいなパーソナルアテンダントがついていないのよ」
「‥‥だからさ、dooがいなかったら、ボクはどうなんだろって考えるんだこの
頃。dooが一緒にいてくれるお蔭なのか、せいなのか、ボクだけオトナになっち
ゃってる気がする」
「お蔭でしょ。狙いどおりだしぃ」
「イジワルされたら、怒ってやり返してやった方が、みんなダメだってわかるんじ
ゃない? それがボクの核ミサイル、次からの抑止力ってのになると思うし」
「ニュースも迂闊に見せられなくなっちゃったのねぇ、魁には‥‥」
「どう言うこと? ウカウカ見るもんじゃないかTVなんてっ」
「‥‥でもね、魁が本気で怒ったりやり返したら、みんなとり返しのつかない大ケ
ガをしちゃうかも~。魁だってふりきれるもん、好きでも嫌いでも」
「当然だよそんなの。好きは好き、嫌いは嫌いなんだからっ」
「だから結局、究極的になっちゃうの。イジワルする子はオトナになってもするっ
て教えたでしょ、わかってもやめないから、相手にしちゃダメなの」
「わかんないよぉ、って言うかボクもわかりたくないっ‥‥間違ってる奴の相手を
しないで逃げるのは、賢いことなんだろうけど、ダメな気がするんだ」
「‥‥一体どうダメなのぉ?」
「どんどん逃げきれなくなってくるカンジがして、逃げるばかりじゃ、ボクが、と
り返しのつかないことになっちゃいそうだしさ」
魁が警戒すべき発言をしたため、dooは対応レヴェルをさらに上げた。




