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万能工作艦明石の軌跡  作者: 髙龍


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第六話

「ええっと・・・。マーキュリー家所有艦が1艦。他の艦艇は・・・?」


「現地で作ったんですけどまずかったですか?」


「いえいえ、そんなことは・・・。ただ、無所属だと対応に困るので。上に確認しますのでしばらくお待ちください」


そう言って臨検を担当してくれた人は通信を開始する。


「確認がとれました。マーキュリー家の方から特例処置の申請がありました。ハーリー星系、冒険者組合所属艦として登録が可能です」


「それでお願いします」


「登録料がこれぐらいですね。退治した海賊船の引き取り額から引かせてもらいますが構いませんか?」


「お金がないのでそれでお願いします」


「余った分のお金をお支払いしますので端末をお願いします」


「端末・・・?そんなの持ってないんですけど・・・」


「それは困りましたね」


「新たに取得することはできませんか?」


「可能です。わかりました。代金を振り込んだ上で後でお渡しします」


「ありがとうございます」


「これで、手続きは終了です」






俊はハルカに通信を送る。


「待たせちゃってごめん」


「ううん。いいよ。俊がいなかったら今回も大赤字だったからね」


「色々、知らないことが多いんだけど教えてくれる?」


「手続きを終えた後なら、時間が取れるからそれでいいかな?」


「僕の方はそれでいいよ」


待ち合わせ場所を確認してから通信を切った。


入港手続きはAIが代わりに行ってくれたので特にすることはなかった。


連絡艇に乗ってステーションに乗り付ける。


こちらもAIが操縦してくれたので特にすることはなかった。


ステーションは新しく出来たばかりということで綺麗なところだった。


ステーションについたところで臨検を行った人が待っており腕時計型の端末を受け取った。


電子マネーのやり取りから通信まで行える便利なものらしい。


することもないのでハルカとの待ち合わせ場所に向かう。


待ち合わせ場所はカフェだったので、とりあえずコーヒーを頼む。


しばらく待っていると作業着姿のハルカがやってきた。


「お待たせ」


「ううん。手続きは終わったの?」


「うん。それで聞きたいことって?」


俊は色々なことをハルカに質問する。


ハルカは嫌そうな顔もせず説明してくれた。


「君って、何も知らないんだね。未開発星から来たみたい」


「ははは・・・。あながち間違いじゃないかな」


地球では宇宙空間はまだまだ限られた人が行き来できる空間だ。


宇宙船が飛び交いあたりまえのようにステーションが点在するこのような世界など存在すら知らなかった。

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