第五話
ハーリー星系は最近になって人類が進出した星系らしい。
進出したばかりの星系である為、手つかずの資源が大量にある。
その為、採掘が盛んに行われている。
が、その採掘資源を狙って海賊もそれなりにいるらしい。
狐耳の獣人少女であるハルカも前回、海賊に狙われて泣く泣く積荷を手放すことになった。
今回は収支を取り戻すために気合を入れてやってきたとのこと。
「頼みがあるんだけどいいかな?」
「なに?」
「最寄りのステーションまで案内してくれると助かるな」
「ステーションに?護衛をしてくれるならいいよ」
ハルカはそう言って快諾してくれた。
ハルカの採掘も順調に終わり、移動を開始する。
ローズが先導するように進み、俊の保有する全戦力が追従する。
万能工作艦明石の優秀なレーダーが漂流物に偽装する艦を補足した。
その数、10艦
「止まってください。所属不明の艦を感知しました」
「どこどこ?」
残念ながらローズのレーダーではわからないようだ。
「データを共有します」
AIが即時にローズにデータを送る。
「あっ。ここって・・・。前回、襲撃されたポイントだ」
どうやら海賊は獲物がかかるのをじっと待っているようだ。
「どうしますか?」
「ここを通らないと、ステーションには遠回りになっちゃう」
「なら、強硬突破しましょう」
俊はローズを守るように陣形をとり、海賊と思われる艦に接近する。
海賊は戦闘力で勝てると思っているのかエンジンに火を入れたのだろう。
エネルギー反応が急上昇する。
駆逐艦5艦を全面に出し、様子をうかがう。
海賊は全力で迎撃することを選んだのか発砲を確認した。
その時点で、俊は戦闘機を全力出撃させた。
戦闘機隊は最短距離で海賊に迫り、次々に戦闘能力を奪っていく。
海賊の船は民間船を改造した物だと判明した。
ガチガチの戦闘艦である駆逐艦だけでもオーバーキルだったのにそこに戦闘機隊が加わったのだ。
抵抗を諦めたのか脱出ポッドが射出されたのを確認して戦闘行為をやめた。
今回の戦闘での被害はゼロだ。
初陣としてはまずまずだろう。
放棄された海賊船を駆逐艦で2艦ずつ牽引する。
脱出ポッドの海賊は放置だ。
回収して問題を起こされても困る。
「俊って凄いんだね」
ハルカは尊敬するように褒めてくれる。
「さて、ステーションを目指そうか」
改めてローズが先導する形でステーションを目指して移動を開始した。
ステーションは突然、現れた戦闘艦に混乱していた。
ステーションからの指示で目と鼻の先の距離で止められ、臨検を受けることとなった。




