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ツルスベプリプリなクリステラ公爵令嬢

 どこも痛くないと、それはそれは残念そうに告げてきた美少女に、女医は笑顔で応えた。



「それはよかったわ。んー、軽い打ち身すらもないようだし?近衛の受け止めスキルがどんどん上がっているおかげだと思うわ。階段から落ちかけて無傷だなんて、医師としては嬉しい限りよ」


「むぅぅ。全然良くないです!どこか擦りむいたりしていないかしら?これじゃあ、追加ボーナスが出ないわ!」



 本来ならドレスの下にはシミーズやドロワーズを着ている筈だが、少女は、まさかのアンダーパンツ姿で、自身の素肌を確認している。胸には布が巻かれているが、貴族の令嬢の感覚ではほぼ裸だ。



「ないわね~。どこも傷なし、ツルスベ、プリプリ。羨ましいわ~!」


「いやいや。大変ですよ、13歳レベルのツルスベプリプリになるのは!」


「ふふ。そのレベルになるまで、殿下のダメ出しが凄かったのでしょう?」


「そう、そうなんです!もぉ、酷いというか、面倒くさいというか、怖いというか!!」


「ふふ」


「私のリフィが、そんな醜い肌のハズがない!なんて普通言います?そりゃあ13歳少女には大負けですけど、お年頃な女性に醜いとか、酷すぎません?」


クリステラ公爵令嬢の名前はルリフィーヌで、家族や親しいものはフィーヌと呼んでいる。殿下は自分だけの特別な愛称が良いと、リフィと呼び始めた。


「酷いと言えば酷いけど、クリステラ公爵令嬢なら美しくないとおかしいものねぇ」


「何度も何度もダメ出しされまくったのですよ?私にはどうしようもないので、王城の美容メイドが泣きながら、磨いてくれました。恐ろしい値段の美容クリームやオイルをバンバン使って!」


「まあ、役得?というやつじゃない?」


「えー、私は少しツルスベぐらいで十分ですぅ。13歳レベルのツルスベプリプリなんて求めていません!」


「数年前に失ったツルスベプリプリを、奇跡の再現よ?夢のようじゃない?」


「夢というか、悪夢じゃないですか?20日間も、お風呂から始まり、頭の天辺から足の爪先までで磨きまくられる、自我を放棄した生活。そして、クリステラ公爵令嬢になりきるための所作を叩き込まれる、軍の訓練より辛いに違いない、地獄の特訓!それを20日間ですよ!ナチュラルメイクで化ける特訓も地味に辛かった!」


「まあ、奇跡も大変なのねぇ。でも、20日で済んだのも奇跡よね。もしも貴方が日焼けしてたり、お肌がボロボロだったりしたら、捕縛計画を延期しても、貴方が完璧に化けるまで許さなかったんじゃないかしら?」


「え?それなら、別の人を探したり?」


「肌をキレイにしたぐらいで、あのクリステラ公爵令嬢に化けられ、しかも、何らかの被害に遭う可能性ありな状況に耐えうる人材が他にもいると?爵位が下でも、一般人なお嬢さんには無理でしょ?」


「くっ!」


 13歳のクリステラ公爵令嬢ではないらしい美少女は、心底嫌そうに、顔を歪めながら、用意されていた軍服を身に付けた。


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