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超短編集

スライムと侍

作者: 西山景山


 前にいたはずの人間が後ろにいた。


「スライムといえども油断は禁物です。的確に、迅速に、敵が何かする前に斬る」


 "再生"と心の中で唱える。


「ほう、まだ死にませんか。あなた、ただのスライムではありませんね?」


 再び斬られる前に、"硬化"。


「おや、少し硬くなりましたね」


 "再生"っ!!


「させませんよ」


 くっ、"分裂"!!


「なるほど、数を増やすこともできるんですね。しかし、動きがさっきよりも格段に遅い。それに」


 "神速"!!


「その隙に本体は逃げようだなんて、考えが浅はかだ」


 後ろにいたはずの人間が前にいた。




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