0.あらすじのような何か
・本稿は文字数制限に阻まれた、作品のあらすじに似た何かです
・本作の雰囲気を伝えるものであり、内容に関しては特に触れていませんのであらかじめご了承ください。
今考えれば明白だ。あの時の俺はきっと、面白くて、刺激的な物語に飢えていたんだ。
……いや、違うな。「あの時」なんて、まるで魔が差したみたいな表現をしたけれど、俺はずっと面白い物語に飢えている。だってそうだろう。この世は皆、退屈で凡庸な現実であふれかえっているのだから。
だからこそあの時俺は、そんな退屈な現実に少しでも色を付けるべく、星咲詩音にちょっかいを出した。イラつかせた。どうせ食って掛かってはこないだろう。かかって来たとしても、一時の暇つぶし。それ以上の可能性なんてない。ある程度暇を潰したら、二人の歩く道はきっぱりと分かれて、そのまま二度と交わらないはずだった。なのに、
「なんでこんなめんどいことになったかねぇ……」
「いや、自業自得でしょ、零くんの」
「てへ♡」
「てへ(はぁと)じゃないよ」
ま、幼馴染の言う通りなんだけどね。俺がちょっかいを出して、俺がひっかきまわして、俺が面倒ごとを引き寄せた。それだけだ。けれどまあ、今まで通りの退屈な現実が続くよりはずっと、
「や、流石にあんな暴力女はお断りだわ」
「その暴力のきっかけ作ってるのも零くんだけどね」
「やだ恥ずかしい☆」
「やだこの幼馴染反省の色が見えない」
退屈で凡庸な現実より、面白くて刺激的な物語を。捻くれ毒舌少年の青春活劇、ここに開幕!
「そういやこの間どっかで見たんだけどさ。あらすじの終わりが「開幕!」で終わってるだけでブラバなんだってさ。やだねえ。そんなところで話の内容なんか分かるわけないのに気持ちの悪い。大体読まないでブラバするほどお前の読解能力優れてないだろうに。それともあれか?自分はちょっと人とは違うんです。そういう「見抜けるポイント」を持ってるんですアピールか?後はあれか?そうやって断言しておいて、賛否両論にしておけば、反応が一杯稼げて、注目されて、その発言の下に「バズったので宣伝します!」とか言うことも混みで考えた炎上商法か?」
「零くん零くん。その発言の方がよっぽどブラウザバックと思うよ」
「てへぺろ☆」
「こんな可愛くない「てへぺろ」初めて見たよ……」
訂正しておこう。俺は捻くれてもいなければ毒舌でもない。ついでに青春なんて愛想笑いが生み出す産物には興味が無いし、活劇なんてちょっとこじゃれた言葉が引っ付いた話も嫌いだ。そんなものよりもっと面白い物語を出せや、ばぁああああk(※不適切な表現があったため削除されました)
次回更新は本日(1/30)の18時です。