夢の誘い、星の導き
神様は不公平だ。私だってもっと可愛い姿で産まれてきたかった。
昨日親友だと思っていた友達にやっとの思いで告白して付き合えた彼氏を寝取られた。
理由はあんたみたいな地味子が私が彼氏いないのに男と付き合おうなんて100年早いと言われた。
「あんたは私の引き立て役。そんなこともわからないなら今日からあんたはパシリよ。」
絶望した。好きで好きで頑張って告白して「いいよ」と言って1日で裏切った彼氏も、今まで親友だって思っていたのに「これからはパシリよ」と見下してくるあの女も。
「なんでなんでなんでなんで!!」
それからどうやって家に帰ったか覚えてない。ただ現実から離れたくて制服のまま私は布団を被って眠りについた。
その夜鮮明な夢を見た。
私の愛する魂の半身、日の神ルク。そして私、月の神ロナ。
私たちはずっと一緒だった。あの日が来るまでは・・・。
「ロナ行くのか・・・。」
「ええ。ごめんなさい・・・。ルクに会えなくなるのは辛いけどきっとまた巡り合えるわ。」
「そうだな俺たちは1つの御霊を分けたる番。たとえ住む世界が変わろうがいつかは逢うのは必然だ。」
「ええ。だから・・・。」
私は最後の逢瀬を慈しむようにルクをぎゅっと抱きしめる。彼もそれに応えるようにぎゅっと抱きしめ返してくれる。そしてその刹那も私たちはまだ繋がっていた。
しかし私は彼から自分の意思で離れた。
そして私は
「さよならは言わないわ。また・・・。」
そう彼に言い残して小刀で自分の心臓を貫いた。
心臓がバクバクしている。どうやら生きているらしい。
生きている?そうだ私は前世で自分で命を絶ったんだ。
でも考えても考えても命を絶った理由が思い出せない。ルクと幸せに永遠を過ごしていたのに何故?
頭が痛いガンガンする。ナンデナンデナンデナンデ。
<それを思い出すのは今じゃねーからな。>
・・・声が頭の中から聞こえたような気がした。
<気のせいじゃねーよ!俺の声聞こえてるだろ!!>
どうやら気のせいではないらしい。
「・・・えーとあなた誰?」
<それは・・・。覚えててほしかったわ・・・。>
「・・・」
<まぁ俺は星の神シン。汝「上城美夜」を導くものである!>
「・・・えーと前世繋がり?」
<お前が前世の事を思い出すのが俺とのリンクを形成させれる条件だったからやっとだったわー。>
「前世繋がりか・・・。」
<まぁな。あ、お前ルク以外の事は思い出してないみたいだから言っとくけど他にも神いるからな。>
「そうなの?」
<それは追々わかっていくことだろうから置いておく。>
<これからお前はいろんなことを思い出すだろうし色々大変なこともあるだろう。でもお前はルクとまた会うと約束したんだろ?>
「・・・うんした。私ルクに会いに行きたい!!」
<それじゃあ俺とも約束してくれ、何があっても諦めないとな。これは契約だ。じゃないと会わせない。>
「・・・わかった、契約する。」
実際私には契約とかよくわからないがシンがそう言っている理由は多分、ルクに会うには一筋縄ではいかないというのだろう。
でも私は約束以前にルクを愛していた記憶がよみがえって恋しくて恋しくてしょうがないのだ。
昼までは薄い愛と薄い友情に絶望していたけれどそんなもの前世を思い出したら塵そのものだった。
本物の愛は人を変えるとはよくいうものだ。
どれだけのことがあってもルクとの記憶を思い出すとなんでもできる。気だけじゃない。これはそういうものだった。
<契約成立だな。今これから美夜はこの世界にはもとからいなかったことになる。>
「もとからいなかったことになる?」
<美夜はこの世界に存在してるけど知人の記憶にも記録にも残ってない。これからも残らない。>
「・・・ちょっと待って?お父さんとお母さんは!?」
<違う生活を異なる環境でしてるだろうな。>
「・・・。」
<後悔したか?>
後悔しない訳がない。今まで私を愛して育ててくれた大切な両親だ。でも。
「覚悟は決まってる。私はルクに会いに行く。・・・でもちょっとだけ泣かせて?」
ぽろぽろと涙がこぼれる。
「お父さん、お母さん・・・。親不孝者でごめんなさい。」
それは朝日が淡く白みだすころまで続いた。
<もう大丈夫か?>
「・・・うん、もう平気。」
<あはは!強いなぁ!それじゃあ行くか!!>
「ええ!よろしくね相棒!」