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第062粧 黒猫は迷子案内役の黒騎士

「猫?」

「にゃあにゃあ……」


 いつの間にか現れた黒猫が、足元にすり寄って来た。


 見つかったのは人じゃないけど、心細いときに一人じゃないと分かって少しホッとする。


「うーん、黒猫ちゃんはこの前学園に居たのと同じ子かな?」


 のど元をなでるとゴロゴロ言って……か、可愛いじゃありませんの!


 同じ猫と別の場所で会うなんてことはそうそうないと思うけど、人懐っこい感じが似ているなあ。


「はああ……かわいいっ!」


 思わず抱き上げてぎゅーっとすると、大人しく腕の中に納まってくれた。


「にゃー」

「いい子いい子」


 黒猫を抱きしめていると、少しだけ心が満たされた気がする。

 小動物は良いよね、癒されるもんね。


 まあ、兄さまの方がぎゅーっとしたときの癒し度が抜群なのですが!


「ねえねえ聞いてくれる? なんかね、みんなどっか行っちゃったんだよ」


 なーんて猫に言っても、分かるわけないか。


「にゃあ」


 なんて思ったけど、黒猫はまるで私が言ったことが分かったみたいに、家の方向に向かって右前足で私の腕をトントンと叩いた。


 叩いたと言うか、もみもみと言う感じだけど。

 肉球でもみもみされましたよ。うへへへ。


 で、結局どういうこと?


「にゃあ?」

「にゃあにゃあ」


 首を傾げて問いかけると、さっきと同じように肉球でむぎゅむぎゅしてくる。


 うーん、可愛い!

 これはおうちにお持ち帰りして良いってことですね、分かります。


「じゃあ、おうちに帰ろうね?」


 他に出来ることもないし。


 一緒に帰る? と問いかけると、黒猫が私の手から離れてぴょんと地面に着地した。


 ああー、癒しがー! 癒しがどこかに行っちゃうー!

 テイクアウト! お持ち帰りしようと思ったのに!


 と思ったけど、黒猫はどうやら家に誘導してくれるらしい。

 こちらを振り向いて待機しているような感じに見えたので近寄ると、黒猫がゆっくりと歩き始める。


「おおっ。なんだか騎士みたいだね。エスコートお願いします、黒騎士さま!」

「にゃー」


 時折振り返って私の様子を見てくれる黒猫のあとを、私は追いかける。


 黒い霧が出ている中、黒猫を見失うとまた一人になっちゃう。

 だから絶対に見失わないようにしないと……。


「それにしても、キュリテ、大丈夫かな……」


 本当に、どこに行っちゃったんだろう。


「にゃあ」


 私の呟きに応えるように、黒猫が足元をぐるりとすり寄って一声。


「心配するな、って言ってくれてる? ありがとうね」


 心強い騎士さまだね!


 それにしても、本当に誰ともすれ違わない。


 私、もしかして別の世界に紛れ込んじゃったとか? これぞ、ファンタジー?


 なんて思っていたとき、来た方向で何かがちらついた気がした。


「え? 誰かいる?」

「にゃあ!」


 振り返っても、黒い霧のせいで何も見えない。


 お化け……じゃないよね?

 もしかして私の他にも、誰もいなくなって寂しがっている人がいるのかな……。


「にゃ! にゃにゃ!」


 後ろ髪を引かれるように何かが見えた方向を眺めていると、黒猫が騒ぎ出した。

 私にぴょんぴょん飛びつこうとしている。


「どうしたの? 黒猫ちゃんも、さっきのが気になる?」

「にゃにゃあ!」


 私は飛びつこうとする黒猫を抱き上げた。


「じゃあ様子を見に行こうか!」

「にゃにゃあー!!」


 ううーん。なんかジタバタしている。なんでだろう?

 力を緩めても逃げ出そうとしないので、抱っこされるのが嫌なんじゃないと思うけど……。


 この子と意志疎通出来るようになれば良いのになあ。


 もしかして、この子にも同じようなこと思われていたりしてね。……なんてことはないか。

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原作担当コミック『小さな星《ひかり》のダイニング クチーナ・ルーチェ』pixivシルフ様にて連載中!
正反対な二人が送る、ファンタジーが舞台のダイニングでの優しい時間✨
よろしくお願いします~!
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