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第055粧 駄犬くんは、なにかを言いたそうにこちらを見ている!!

 ヒナタちゃんたちと校舎に向かっていると、段々と周りが騒がしくなってきた。


 なんだろう? と思って生徒たちの視線が集中する方向を見てみると、校舎の近くにいる駄犬くんが周囲から遠巻きに見られているみたいだった。


「あれ、ダーケンだね」

「……ど、どうされたのでしょうか」


 おっ、ヒナタちゃんがガイアスの言葉に返答してる!

 兄さま越しにだけど。


 駄犬くんもこっちに気付いたみたいで、私たち……と言うか、あれ? 私のことを鋭い表情で睨んできてるような……?


「すごい睨んでくるんだけど、挨拶ってわけじゃないよな?」

「私たちのことが気に入らないのでしょう。気に留める必要はありませんわ」

「この前のようなことに……なったりしないでしょうか……」

「大丈夫だよ。キュリテとの決闘で負けて、しばらく関わらないって約束したから。きっと、あんまり近づいて来ることはないと思うよ?」

「……」


 それに、さすがに何度も喧嘩を吹っ掛けて来られてもこっちは辛いんですが。


 なんて思っていると、兄さまが私たちの前に立って、駄犬くんからの視線を遮ってくれた。


 私からは二人の様子が全然見えないけど、兄さまと駄犬くんの視線の間で火花くらい散っていてもおかしくなさそうな雰囲気を感じる……ごくり。


「チッ」


 しばらくすると、駄犬くんはだいぶ大きな舌打ちをして、尻尾を巻いて逃げるように校舎へと走り出して行った。


 睨み合いは兄さまの勝利!


「もしかして、負けたことを根に持ってるのか?」

「大勢の目に晒されて負けたのですもの。駄犬の性格を考えると、根に持ってもおかしくありませんわ。もっとも、実力不足以外の何でもありませんけれどもね」


 負けた後に再戦を匂わせるようなことも言っていたし、内心では諦めがついてないのかな。


「それに加えて、決闘中にキュリテが余計なことを言ったようですもの。もう少しよく考えて行動なさい」

「うっ」


 た、確かに駄犬くんが使者かを疑うような、余計なことを言いましたー!


「それって、ダーケンが偽物の使者じゃないかってお話のこと? すごく噂になっているよね」

「え? すごく噂になってる?」


 そこまで大げさなことに!?


 驚いていると、いつの間にか合流していたハウザーがガイアスの隣からひょこっと顔を出して言った。


「ああ。決闘中の一言の影響も多少はあるだろうけど、使者と言う大きな優位性があったにも関わらずダーケンが負けただろう? だから本当に使者かを疑う声が、大きくなってきていてね……」


 え? そんなことになってるの?

 それにしても……。


「ハウザー、疲れた顔してるな。大丈夫か?」

「ダーケンがね、訓練中にかなり荒れているんだ。キュリテとノワール嬢の喧嘩が落ち着いたと思って安心していた矢先にこれだよ」

「そんなに荒れてたかな? 手合わせすると、いつも通り力任せな感じだったと思うよ。あ、でもいつもよりちょっと力がこもってたかも」

「相変わらず、ガイアスは見てるんだか見てないんだか良く分かんないよな」


 駄犬くんよ……。

 決闘が終わっても、決闘前と同じように剣を振るっているんだね。学習してないなあ。


「だからあの後、占星術師さまにもう一回見てもらったんだよ。そうしたら、『ダーケンはちゃんと使者の資格は持っている』って言っていたから、間違いはないと思うよ?」

「未だに魔法が使えないけどね。そんなわけで、ダーケンはかなり精神的に来てそうなんだ。俺たちのことも敵視しているような雰囲気だったからね」


 う……。駄犬くんは乙女ゲームでは使者ではなかったとは言っても、実際の使者同士の関係がギスギスしてるってことなのかな。

 そう言われると、さすがに他人事じゃなくなる。


 黒の神子サイドとしては良いことかもしれないけど、私は別にみんなが不幸になれば良いとか思っていないので! 出来れば平穏に死を回避したいだけなので!


「今は何も仕掛けて来ないようですけれども、しっかりと駄犬の様子を監視した方が良いですわね」

「ごめん、俺が調子に乗ったせいだ。まさかハウザーたちに迷惑がかかるなんて思ってもいなかった……」


 ポン、と優しく頭を叩かれる。

 兄さまと違う感触だったので、手を辿ってみるとハウザーだった。


「ダーケンが勝手に挑んで負けたんだ。だから、あいつの自業自得だよ。気にする必要なんてないさ」

「……ありがとう」


 そんなハウザーの手を、ぺしぺしと扇子で突く兄さま。


 もしもしー。私の頭の上で喧嘩しないでー!

 試合とか決闘とか、しばらくはお腹いっぱいだよ!


「そう言えば、今日はまだウォルターを見てないよね?」

「ウォルターなら先に教室に向かったのを見かけたよ。正確には、ダーケンを追いかけたようだったな」

「ウォルターが駄犬を? 何で?」

「さあ? ただあの様子だと、用があるって言うよりは……尾行しているようだったね」


 ウォルターが駄犬くんを尾行?

 何だろう? 一応は同じ水の使者として何か思うことがあるのかな?

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原作担当コミック『小さな星《ひかり》のダイニング クチーナ・ルーチェ』pixivシルフ様にて連載中!
正反対な二人が送る、ファンタジーが舞台のダイニングでの優しい時間✨
よろしくお願いします~!
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