第054粧 兄さまと白の神子と黒の神子の少しだけ変化した関係
決闘が終わって数日経過。
兄さまと一緒に登校すると、校門でヒナタちゃんが私たちのところに駆け寄って来る。
そんな風に日常化しつつある光景が、少しだけ変化を見せていた。
とは言っても、兄さまが案内役をやめたわけじゃない。
私が兄さまと喧嘩して意地を張ってまで決闘に挑んで勝ったことで、対外的に理由を付けて案内から降りることが出来なくなってしまったのかも。
まだ役目を続けてくれていることに安心するけど、兄さま自身は未だにやめたそうにしているので……ごめんね、兄さま……。
でも数日に一回は入れ替わりやめようよ? と提案しても、何でか譲ろうとしないのでちょっと心配になる。
頼って良いとは言われているけど、それでも無理にやることないんだよ、私も協力するよ、って思うけど。
私はそんなに頼りないのかなあ。
それはさておき。
変化が起きたのは、ヒナタちゃんの態度だった。
「ノワールさん、それにっ、きゅっ、きゅっ……!」
一生懸命、きゅっきゅっ言っているのが小動物が鳴いてるみたいで、なんだか可愛いなー。
私は彼女の言葉の先を促すように、問いかけた。
「きゅ?」
ヒナタちゃんは最近、男装している私に頑張って話しかけようとしてくれている。
その様子を毎日見ていると、彼女が少しずつ成長しているみたいで微笑ましい。
「ごっ、ごめんなさい、き、キュリテくん! お、おはよう、ございます!」
「おはよう、ヒナタ嬢。ちゃんと言えたな、偉い偉い」
「い、いえっ」
頑張ったヒナタちゃんを褒めると、彼女は照れながら兄さまの後ろに隠れてしまう。
「以前よりは異性に話しかけられるようになったようで、何よりですわ」
「その、ノワールさんには沢山ご迷惑をおかけして……すみません」
「改める気があるようでしたら、言うことはありませんわ」
と言っても、ヒナタちゃんはまだ兄さまの後ろに隠れて、こちらをチラチラ見ている状態。
まだまだハウザーたちに案内を丸投げするには程遠いかもしれないけど、この調子でコツコツ頑張ろう!
「あとは堂々と話せるようになれば、だいぶ変わるだろうな」
「はっ、はい!」
「無理はしなくていい。だからゆっくりと前に進もう」
「はいっ!」
「……」
ヒナタちゃんに自信を持つように言うと、兄さまが不機嫌そうな表情をしてじとーっと私のことを見て来た。
って、なんでやねん。私今変なこと言ってないよね?
首を傾げていると後方からガイアスの声が聞こえてきた。
「おはよう、三人とも!」
駆け寄ってくるガイアスに気付いたヒナタちゃんが、兄さまの後ろにシュバッと隠れてしまう。
姿が完全に見えなくなった!
うーん、前世か何かが小動物かな? それとも、忍の者であろうか……。
「神子さま、キュリテとも仲良くなったんだね」
「は、はいっ。その、これからは、使者のみなさんともちゃんとお話し出来るように、頑張ります……!」
「うん、よろしくね!」
残念! 台詞は心強いけど、兄さまを盾にしてるから説得力がないよ……!
「よーし! 僕もノワールと仲良く出来るように頑張るよ!」
本人の目の前でそう言う宣言しても無駄ですー。
「遠慮させて頂きますわ」
もれなく兄さまが私の代わりに拒否していた。




