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双子兄さまの悪役令嬢女装? 大丈夫、破滅回避の主戦力だよ! ~深層反転の真偽編集者《バイナリィヱディタ》~  作者: 江東乃かりん
第1装 女装始めませんこと? ~第4着 どう考えても決闘を申し込む相手を間違えている~
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第051粧 (.{3})キュリテ:6

 左手を上にかざし、逆三日月型のアザを眺める。


 そうしていると、コトン、と何かがテーブルに置かれた音がした。

 気配はさせない癖に、音だけ鳴らしたのはわざとだろう。


 音の方向へと顔を向けると、以前俺が用意したものと全く同じ種類のチョコレートがけのドーナツが半分、皿の上に置かれていた。


 もう半分は、今頃ノワールが食べているのだろうか。

 いつも食事中にノワールが見せる幸せそうな表情を思い浮かべ、一口かじる。


 それは、喧嘩した日に一人で食べたドーナツより美味しかった。


「嬉しそうに微笑まれて。現金ですね、キュリテさま」


 からかうような声が部屋の隅から聞こえてきて、思わずため息をついた。


「……まだ居たのか」

「ドーナツの半分は私が頂きました」


 エスの何気ない一言に、俺の動きが止まりかける。


「……」

「と申し上げると、とても面白い表情が拝見出来そうでしたので。つい、心地が良く居座らせて頂きました」

「俺で遊ぶな。で、実際は?」

「聞いてしまわれるのですか?」


 楽しそうな声色から、俺のことをからかっていることが分かる。

 思わず睨みつけようと考えたが、俺は表情を悟られることを恐れて欠けたドーナツへと視線を落とした。


「……だから、俺で遊ぶな」

「少し動揺しましたね。もう半分は、この後ノワールさまで遊ばせて頂く際の玩具にいたします。きっと良いお声でにゃーにゃー鳴いてくださいましょう」

「食べ物で遊ぶと怒られるぞ」

「ノワールさまのお怒りは可愛らしいものです。最終的にはお召し上がり頂く予定ございますので、ご安心を」


 エスは悪戯っぽく微笑んだ後に一礼し、部屋から姿を消した。


 室内から完全に居なくなったことをみとめると、溜め息を付く。


 彼女は言葉通りノワールをからかうために、ドーナツを玩具にするだろう。

 そうした時にコロコロと変わるノワールの表情を眺めてみたいと感じたが、その気持ちを抑えることにした。


 今は、他の問題の解決案を考えなければならなかった。


「駄犬が抱えるあれは……、そう遠くない将来に昇華しそうだな」


 食べかけのドーナツを置き、椅子に座りなおして今日の決闘の最後を思い出す。


 駄犬自身が証だと思い込んでいる左手のアザは、間違いなく本来の使者のものではないだろう。


「厄介なことになる前に、どうにか回収をしなければ……」

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原作担当コミック『小さな星《ひかり》のダイニング クチーナ・ルーチェ』pixivシルフ様にて連載中!
正反対な二人が送る、ファンタジーが舞台のダイニングでの優しい時間✨
よろしくお願いします~!
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