第045粧 悪役令嬢、決闘に臨む!
兄さまと気まずい状態のまま数日経過。
たまにエスが茶化そうとしてくるけど、知らぬ存ぜぬで通しました。
そうこうしているうちに、決闘日を迎えた。
なんだかこの日になるまで、すごく時間が経つのが長く感じたよ……。
今は、決闘に臨むべく訓練施設の準備室で準備体操。
それを終わらせると、姿見で身だしなみをチェック!
身だしなみ、ヨシ!
これなら、万が一のラッキースケベ展開にも耐えられるし、男装バレの心配もなくて安心だね!
乙女ゲームの世界だけど、決闘のこともあるしラッキースケベの心配をする私であった!
だいたい準備が整ったので時計を確認しようかななんて思っていると、扉がノックされた。
「どうぞ」
迎え入れると、いつもの信号機カラー三人と……兄さま。それに、ヒナタちゃんも来てくれていた。
「キュリテ!」
「本当に大丈夫? 今からでも遅くない。棄権しても良いと思う」
駆け寄ってきた来たガイアスの後ろからウォルターが問いかける。
心配してくれるのは嬉しい。
だけど……。
「ダメだ。棄権なんか出来ない」
だってそれは、誰のためにもならないんだから。
「君の決心が固いことだけは分かったよ。だけど、君の片割れを心配させたまま行くつもりかい?」
ハウザーの言葉に、私はしかめっ面をしている兄さまの方を向く。
目も合わせてくれない。
喧嘩の原因はどう考えても私なので、きっと私が謝るまで機嫌を直してくれないと思う。
でも……寂しいな。
「ノワール……」
「……どうせ、何を言っても決闘に行くのでしょう」
「ああ」
「では一言だけ」
兄さまは、扇子で顔を隠したまま呟いた。
「かすり傷一つでも怪我を負ってみなさい、許しませんわよ」
「分かってる。絶対に勝って、戻ってくるから」
ウォルターがポツリと、「どこにガン飛ばしてる?」と呟いているのが聞こえた。
え? 私? ガン飛ばしてないよ?
不思議に思って首を傾げていると、兄さま越しにだけどヒナタちゃんが話しかけてくれた。
「キュリテくん……ごめんなさい。……私が、もっとしっかりしていれば……」
私に話しかけるヒナタちゃんを、皆が意外そうに見ていた。
「いいや、良いんだ。それに、場所に来てくれて、ありがとう。少し怖かっただろう?」
ここまで一緒にやってきたメンバーは男の子率高いし、良く頑張ってここまで来てくれたね。
女の子の格好している兄さまは女装なので、実はヒナタちゃん以外は全員男の子だけど!
「私も……頑張ります……。出来る限り……少しずつっ、頑張ります……! だから、負けないでください!」
「ありがとう。でも無理はしないで」
ヒナタちゃんと少し距離を取って話していると、ハウザーとウォルターのひそひそ話が聞こえてきた。
「あのキュリテ、本物のキュリテよりもイケメンじゃないか? 気持ち爽やか加減があるしさ」
「自分もそう感じる」
「おい、聞こえてるぞ」
「君は地獄耳だな」
「ねえねえ、何の話してるの?」
「うわっ、ガイアス!? 驚いた! 急に紛れ込んでくるんじゃない!」
「僕だって、ノワールと話したいんだよー!」
信号機カラーと女装中な兄さまのいつも見る風景に、自然と私の表情が綻んだ気がした。
不安そうにしていたヒナタちゃんも、さっきよりも表情がずっと明るくなる。
「よし、そろそろ時間だ。行ってくる!」
まだちょっと兄さまと気持ちに距離があるような気がするけど……。
でも私は、絶対に勝って戻ってくるからね。
「見守っていて」
お願い、キュリテ。
更新頻度低い中、お読み頂き有難うございます…!




