第041粧 黒の神子は贄を求める
家に帰って着替えを終えてから、布団の上でゴロゴロする。
「ううう……お腹すいたよう……。結局ちょっとしか食べれてないよう」
ヒナタちゃんに飴をもらったから一時しのぎにはなったけど、育ち盛りだからね!
「そろそろご夕食の準備が整いますので、我慢なさってください」
そんな空腹状態の私に向かって、エスの無慈悲な一言の攻撃!
「そろそろっていつ頃ー!? ううう、我の糧となる贄を捧げよ……」
「お屋敷の平和を考えると、我慢して頂くのがよろしゅうございますね」
「悪役令嬢の侍女がボスに辛辣な件」
「残念ですが、私の雇い主はお嬢さまではございませんよ」
「その雇い主の父さまに、エスの態度が厳しいってチクる!」
「では私は、お嬢様がお夕食を食べられなかったときのために、間食されていたことをご報告いたしますね」
「ううっ、それだけは……!」
エスは辛口だけど何だかんだノリが良いので、こっちの悪ふざけに乗ってくれるのが嬉しい。
「このままだと、お腹が空いて……。何もする気が起きないよ……」
「仕方ありませんね。ではそんな悪役にゃ嬢さまにはこちらを」
何もする気が起きないと言ったな? あれは食べ物にまつわることだけだ!
と言うわけで、エスがぽいっとこっちに投げたものを、キャーッチ!!
「にゃっ!」
「さすがお嬢さま、お上手です」
珍しく褒められた!
お手玉くらいの大きさだけど、なんだろなんだろ??
飴にしては大きいなー。
「って、ネズミのあみぐるみかーい! 食べ物じゃないんかーい!」
「よく咬んで可愛い声でにゃーにゃー鳴いていらっしゃるので、お召し上がりになるかと」
「にゃるかー!!」
言ってる先から咬んだ!!
ネズミのあみぐるみを枕元に放り投げると、チューと空気が抜けたような音で鳴く。
妙に芸の細かい仕掛けが仕込まれていた!
「かくなる上は……」
ベッドの上で大の字になる。
「ご飯が出来るまでは、寝る!」
でも眠気はないので、布団をかぶって枕元のあみぐるみでちゅーちゅー音を鳴らす。
別に寝たふりして拗ねているわけではないので!
そうしていると、エスがそう言えば……と切り出した。
「先ほどキュリテさまが、おやつを持っていらっしゃったようですよ」
「なんと! エス、良い情報ありがとう!」
私は布団から脱出してダッシュした。
「兄さまのところに行ってきまーす!」




