第033粧 兄さまと白の神子を尾行中であります
休み時間。
私は今、ぷくーっと頬をふくらませて、物陰からとある二人を監視中です。
別にやることがないとか友達がいないとか、そう言うことは……あ、ある!
あるけど、それとこれとは話は別なので、さておき!
私は、気になるから尾行しているのだー!
「何をやってるんだい? ノワール嬢」
「違いますー、今私はキュリテですー。中の人のことを分かっていても、キュリテと呼んでくださいー」
「本物のキュリテはそんな返ししないって」
隠れてこそこそしている私のことがノワールだと知って話しかけて来たのはハウザーだった。
「そう不貞腐れなくても良いんじゃないか?」
「今はハウザーに対して怒っているわけではありませんー!」
「それはそうだろうね。何となくは察しているけど。で、こんな物陰に隠れてどうしたんだい?」
「見て分かるだろ、偵察だ」
「口だけは切り替え早いのな」
私の視線の先はもちろん、悪役令嬢に変装した兄さまと白の神子ちゃん。
二人は一応一緒に行動はしているけど、距離感があるし目に見えてよそよそしい。
ハウザーも私の視線を追って二人を見ると……。
「ああ、彼女……どうしたものだろうね」
と、首筋に触れながら困った様子で呟いた。
あ、それ! イケメンが良くやる首が痛いポーズだ!
「俺たちの世界に無理矢理呼んだから、慣れるまではあれこれ無理強い出来ない。とは言え、このままだとな……」
キュリテもここのところ機嫌が悪いし、と呟いた。
「そう言えば、使者の役目ってないのか?」
「ああ。放課後になったら魔法の説明と、あとは訓練施設で特訓の予定ってところ」
「へー、魔法! 良いね、魔法!」
魔法は使者と神子、占い師。あと、闇の因子に囚われた人しか使えない。
だから黒の神子である私も使えるはずなんだけど……なんだけど。
……お察しください。
あれかな。まだ力に目覚めてないから使えないのかな?
「ノワール嬢は相変わらず、そういうのが好きだね。もちろん、見学して行くだろう?」
「や、良い」
「な、なんだ? 驚くほどテンションが下がったな」
だって使者の訓練見に行くのって、変なフラグ立ちそうだし。
なんてことはハウザーに言えない。
うーん、でも魔法使ってるところは見たいなー!
誰かが使ってるところを見れば、私も使えるようにならないかな?
なんて思うけど、そんな簡単にはいかないか。
黒の神子として目覚めたくはないけど、魔法に憧れはあるし使ってみたい!
矛盾した思いを抱えるノワールさんであった。




