表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/73

第029粧 兄さまがのびーる

 兄さまが帰ってきた、と連絡をもらった私は、いそいそとお部屋に向かいました。


 もちろん、着替えてると思うから、ちょっと待ってからだよ!


 ドアをノックすると、兄さまの疲労に満ちた返事が聞こえてきた。


「兄さまお帰りなさいー!」


 おおう、どうしたんだろう?


 ドアを開けると、すごく不機嫌な顔でソファーでぐったりした兄さまが出迎えてくれた。


 私は隣に座って、ここのところ足りてなかった兄さま成分を補給!


 何なら疲れてそうだし、私が膝枕役するよ!


「……」


 ポンポンと私の膝を叩いて誘ってみたけど、ちらっと見るだけでスルーされた。


「……ただいま」


 ガーン。


 ショックを受けているとそっと右手を差し出してくれたので、両手でにぎにぎする。


「えへへー」


 至福なり!


 ちょっとだけピリピリしていた左手も、調子よくなってきた気がする。

 兄さまの癒し効果は絶大!


「はあ」


 なすがままの兄さまが溜め息をついた。


「大丈夫? 白の神子ちゃんと何かあったの?」

「どうもこうも……。ひとまず学園の女子寮に突っ込んで来た」

「突っ込んだって、兄さま言い方……」

「女装しているとは言え、さすがに堂々と入れるものか」

「うん? 兄さまは女子トイレには入ってない?」

「誰が入るか! ……個室トイレがあるだろう」


 兄さまが言っているのは、やたらと豪華な個室トイレのこと。

 入るとロックがかかって、そのあと男女のトイレどちらか好きに選べる。


 なんでそんなのあるんだろう?

 謎のご都合主義?


 ちなみに私は、「へー、こんなのあるんだー」程度にチラ見しただけで、まだ入ってない。


「それに入ってい……る……って、お前男子トイレに入ったのか!?」


 自分で言うのもなんだけど、令嬢と令息がトイレを連呼するのはどうなんだろう。


「まだ学園ではお花摘みに行ってないなあ。今のところ帰り早いもんね」

「はーーー……」


 私が答えると目を見開いて驚いていた兄さまが、さっきよりもすごーく脱力した。


 ツッコミとの落差が激しくて疲れてるのかな?


「トイレの話は今はいい。とにかく、あれは厄介な生き物だ、関わりたくない」


 そういう兄さまは、今はびろーんとのびーる生き物みたいに見える。


「あれって……」


 さっきから白の神子ちゃんに対する兄さまの言い方に、ちょっとムッとする。


 白の神子ちゃんは舞台上ではあんなに心細い目にあったのに、どうしてそんなこと言うんだろう。


 はっ、もしかして……!


 転生物あるあるな展開が起きたとか!?


 白の神子ちゃんも実は乙女ゲームをプレイしていて、こっちに召喚されたとか!?

 だから見たことのある悪役令嬢が現れたことで、騒ぎ始めたとか!?

 ごめんね、そうだとすると怖かったよね、白の神子ちゃん……!

 でも大丈夫、兄さまは本物の悪役令嬢じゃないからね。

 怖くないんだよ!


「なんで一人で頷いているんだ?」

「きっと神子ちゃん、心細かったんだろうなあって」

「それよりも、俺はノワールに聞きたいことが山ほどある」


 神子ちゃんについてスルーされた!


「あっ、ウォルターが使者に名乗りを上げなかったこと?」

「そうか、それもあったか。いや、今はそれはどうでもいい」

「良くないよ!」

「頼むから。話を聞かせてくれ……」

「う、うん……?」


 兄さまが頭を抱えてしまったので、私は頷くしかない。


 こんなに疲れてるなんて、いったい何があったのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原作担当コミック『小さな星《ひかり》のダイニング クチーナ・ルーチェ』pixivシルフ様にて連載中!
正反対な二人が送る、ファンタジーが舞台のダイニングでの優しい時間✨
よろしくお願いします~!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ