第024粧 使者が乙女ゲームより一人多い
幕の前には占い師が一人取り残されている。
慌てている様子がないので、あえて残ったのかな。
そう言えばさっき、何かを探しているようだったかも。
「なんだよ! ここまで見せたんだからもっと神子の姿をみせろ!」
座席を見渡す占い師に向けて、男子生徒がヤジを投げていた。
むしろ、どうしてここまで見せたんだろうって気になる。
そう疑問に思ったらさっきの続きで、ムカムカしてきた。
「……静粛に」
ヤジを静めようと、凛とした占い師の声が響く。
それだけでは収まらなかったざわめきは、次の一言で簡単に静まり返った。
「これから、選ばれし使者を公表します」
ごくり、と講堂内のみんなが息を飲む音が聞こえた気がした。
白の神子の存在もだけど、みんな使者のことが気になっていたのかもしれない。
ここで使者を発表すると言うことは、召喚の儀式を行ったことによって誰が使者なのか分かったのかな?
「自らの左手を確認し、その甲に証のあるもの三名は手を挙げてください」
と思ったら、占い師が告げたのは、まさかの自主申告制ー!?
思わず前の席の背もたれにずごーっと脱力すると、そこに座っていたガイアスが跳ね上がった。
「あっ!!」
「あわー!?」
「僕の手にあったよ!」
びっくりした!
私がずっこけたせいでガイアスが飛び跳ねたのかと思ったよ!
「まじか。……って、俺もだ!」
ガイアスに続いて、隣のハウザーが驚いた声をあげている。
そのまま証拠を見せるように、二人は左手の甲をかざすように手を挙げた。
使者の証であるアザを見せられ、周囲から声援や拍手が湧き上がる。
うんうん。
土の使者ガイアス、火の使者ハウザー。
配役は乙女ゲーム通りだね!
残りは水の使者のウォルターだけど……。
「お、俺! 俺にある!」
ん!?
ウォルターじゃない、あらぬ方向から声が飛んできたんだけど?
確かさっきヤジが聞こえてきた方のような気が……ん?
あれっ? 使者の残りの一人って、ウォルターじゃないの?
「キュリテ」
「な、なんだ? ウォルター」
予想外の展開に内心混乱している中、私から見てハウザーとは反対隣にいるウォルターが、のんびりと話しかけてきた。
「自分は重大なことに、巻き込まれしまったかもしれない」
「な、なにが?」
重大なんて言いつつ、すごく落ち着いているウォルターからは巻き込まれた感じが一切しないんだけど?
「完全に言い出すタイミングを失ったんだ」
「な、なにを?」
ウォルターは右手の人差し指で自身の左手の甲を指さしていた。
「これを」
そこには確かに使者の証が……って。
ええええええ!?
使者の証があるぅー!?
「あとは分かるだろう?」
いや、言わんでも分かるだろう?
みたいに言われてもね!?
言いたいことは、分かるけど!!
「君はこれを、どう思う?」
なんでこうなってるのかは、全然分かんないよ!!
なんで使者が四人いるのーーー!?!?!?
使者が揃ったことで周りは盛大に盛り上がっているけど、今手を挙げたもう一人って誰なのー!!!
ちょっと占い師ー!!
これどう言う状況なのー!?




