第015粧 兄さまと攻略対象:黄
「それにしても、俺も君たちと同じクラスで良かったよ」
「そうですわね」
「ガイアスも同じクラスだってさ」
「「え」」
ハウザーの一言に反応して、私と兄さまはたぶん似たような表情をしていたと思う。
だって声ハモったもん。
「あ、いたいた! ノワール! それとキュリテとハウザー!」
そんな話をしていると、遠くから大声で手を振ってくる少年を見てぎょっとした。
あれは、今話題のガイアス!
私の婚約者にして、土の使者、そして攻略対象!
「ちょっとお腹がいた……」
「いつもならノワールが逃げるならわかるけどさ。けど、キュリテが逃げたら不自然じゃないかい?」
「はっ、たしかに!」
でも苦手なものは苦手なのですが!
助けを求めて兄さまを見ると、悪い微笑みを浮かべていた。
「ふふふ」
え、ちょっと。兄さまなに考えてるの。
「こっぴどく振ってやるわ」
「え」
「こうしてみると、ガイアスは馴れ馴れしいわね」
「無邪気って言ってやりなよ」
「直接言って、付きまとわないように聞かせないといけないわ。……ノワールをあいつに渡すことなど出来るか」
兄さま兄さま、地が出てるよ。
「兄さま、この間、ガイアスのこと放置し過ぎてて可哀そうだって言ってなかった?」
「いい加減シスコン卒業しなよ」
こそこそ会話しているうちに、息をあがらせたガイアスが近づいてきて微笑んだ。
「ああ、よかった。みんなここに居たんだね! あのね、僕も同じクラスだったよ!」
わー! まぶしいー!!
この子犬系笑顔、まぶしすぎるー!!
ふわふわ癖っ毛金髪がまさにわんこ感割り増し!
クリッとした翡翠色の瞳で見られると、一瞬犬っぽいし撫でても良いかな……なんて錯覚しちゃう!
惑わされてはいけない……!
年下感満載だけど、同い年なんだよね、この子。
このあどけない笑顔を見るたびに「逃げてごめんね」って思うけど、破滅回避には代えられない!
「キュリテはなんで、まぶしいものを見ているようなポーズをとっているんだい?」
「ガイアスが俺に輝けと言って……いない! 違う! ガイアスが輝いて見える!」
「君にはいったい何が見えているんだろうって、俺はよく思うんだよね」
意味不明でごめんなさい。
私の目、ちょっと妄想フィルター付いているかもしれない。