第011粧 (.{3})キュリテ:1
「(.{3})キュリテ」はキュリテ視点回です。
俺の膝の上ですやすやと寝息を立て始めたノワール。
はしゃいで満足したのか寝顔は笑顔で、見ている俺の顔も緩む気がした。
「……」
俺はふと、ノワールの左手を自分の右手に取る。
「ん……」
左手の人差し指でアザをなぞると、ノワールがくすぐったそうにした。
払っただけで消えてしまいそうな薄さのアザだが、まだノワールの手のひらに残り続けている。
「もうそろそろ、だが」
「ニャ」
一人ごちると、ソファーの肘掛けに黒猫が飛び乗った。
ノワールが起きていたら、可愛い触りたいと言って喜んでいたかもしれない。
黒猫はノワールの頭に前脚を置いて、俺の手に乗せていたノワールの左手の甲を舐める。
「にゃあ……」
アザは消えない……。
そう言ったかのように悲しげに一声鳴いた猫が静かに姿を消す様子を眺め、俺はソファーに置いていた手袋を手にはめて呟いた。
「ノワール。お前の不幸に繋がる出来事は、すべて俺が断ち切る。……この運命のフラグでさえ、絶対に反転させてみせるから……!」
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