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World Apocalypse  作者: miyafinder
Chapter 1. Everyday life is the food of despair.
8/37

Episode 8. Sealing and negotiation

こんばんは

ブックマークしてくれた方々、読んでくれた方々に感謝です。

「《ダンジョン》の浸食状況から《魔人》の狙いは《東京大結界》と推定されます」


《ギルド連合日本本部》のある東京千代田区。本部自体は地上20階建ての高層ビルなのだが、機能などの殆どは地下へ集約されている。なぜなら日本本部の地下には恐ろしい《魔物》が封印されているからだった。そしてその《魔物》の封印を断ち切るように《ダンジョン》が浸食していた。


「《将門》公を絶対に解き放つな」


日本にはかつて平将門の祟りがあった。昔の迷信だと《ギルド連合》が始めて日本へ来日した時は推測されたが、日本は古くからそういった呪いや祟りが存在し祭りや祈りによって怨霊と化した者達を鎮めている事がその後の調査で明らかになった。その中でも平将門の祟りは世界的に見ても類を見ないものだと判明した。


平将門の祟りを鎮め除霊ではなく封印をしたのは当時繁栄を極めていた《陰陽師》。彼らは《ギルド連合》の前身で言う《冒険者ギルド》と似ているが、実体は《魔物》の一種である《怨霊》や《呪い》などを祓う専門集団。《冒険者ギルド》で言う《神官》や《エクソシスト》、《死霊術士(ネクロマンサー)》に当たる。そんな彼らが東京を魔方陣と見立てた大規模な封印をする程のもの。当時の祟りを文献では《魔物》の痕跡がないのに村が一晩で消滅する、突然口や尻から血と共に臓器が吐き出されるなど神様の天罰だと恐れられるのも窺える。また封印する際も《陰陽師》も少なくない被害が確認され、日本に江戸幕府が来て以来も幕府が直接封印を管理するものだった。


平将門の祟りを封印する《東京大結界》は平将門が封印される千代田区を中心に周辺の23区である新宿区、文京区、台東区、中央区、そして《ダンジョン》が発生している港区の5つの区が封印を形成させている。港区での封印を管理して維持しているのが東京タワーの地下にある。《ダンジョン》はその封印を壊すように浸食しているのだ。


「《ウンセギラ》の討伐は確認されましたが、どうやら《魔人》を名乗る男によって《ダンジョン》攻略ができていないようです。既に多数の《冒険者》や自衛隊員も送っており被害も拡大しております」


「仕方ない。S級ランクの《冒険者》及び《探索者》は可能な限り《東京タワー》の《ダンジョン》を攻略するように通達しろ。戦力が薄くなった場所の被害は甚大になるが、平将門が解かれれば東京どころか関東は終わりだ。関西地方はどうなんだ?」


「そちらもどこも封印や曰く付きの場所に《ダンジョン》が形成されているらしくどこも戦力を送れないとの事です。京都の東山区の八坂神社の近くにも出現しているらしく、こちらと同じように関西地方もかなり危ない状況です」


日本や他の世界にもやむを得ずに封印しかできなかったものが数多くある。そして日本では東京の平将門のように関西でも同じような祟りがありそれを封印するものがあった。それは京都市東山区の八坂神社の祭礼である旧名《祇園御霊会》の《祇園祭》。こちらは《東京大結界》とは違い早良親王ら6人の怨霊を祀る為に毎年行っている行事であり、当然彼らを祀る八坂神社には6人の怨霊が封印されている。


《魔人》達が意図して《ダンジョン》を出現させられるとしたら彼らは少なくても入念に計画している。《ギルド連合》の職員達は本当に日本は滅亡の危機にあると認識していたのだった。













「誰だ?我が眠りを妨げる者は?」


ルーマニア南部にある首都ブカレスト。そこから北に約40から50キロほど離れたスナゴヴ修道院の地下にある祭壇へ無礼に入ってきた《魔人》にスナゴヴ修道院に封印されている怨霊は苛立っていた。


彼は自分の領地を、そして国を守る為に敵対国や反逆を企てるものは例え貴族でもあっても串刺しにし、最後は敵対国との戦争で戦死し首を塩漬けにされ晒された。そんな彼の怨霊は敵対国を襲い、挙句の果てには領地や自分の子孫にまで及んでしまった。


現在はルーマニアを守った経緯もあり英雄として祀られ、今では自分を讃え観光の一貫として有名にもなり怨霊となった彼は、自分の棺があるこの地下祭壇で過ごしていた。


「お前、人間ではないな」


「その通り。俺は《魔人》」


「そうか。貴様がかつて恐れられた《魔人》という奴か」


彼の生きていた時代は《魔物》の脅威が減り、《人間》同士の争いた国土や宗教戦争などが勃発していた。だからこそ《魔人》の存在は伝承とばかりに思っていたが、目の前の《魔人》は《人間》とは似て非なる者だと実感していた。


「そんな《魔人》が私に何のようだ?言っておくが私はもう怨みなどない。もはや当時の者などおらず国も変わり皆無関係。ただ私の怒りを抑えた神官共のせいで成仏できぬ哀れな霊だ」


「そんなお前に俺から良い提案をしていいか?」


「ほう?何だ?」


「お前を縛る封印を解く。その代わり成仏する前にいくらか俺達の手伝いをしてくれ」


「なるほど。その手伝いとは何だ?それは今地上で起こっている災厄を手伝う事か?」


「なら話は早い。俺達の()()の為に付き合ってくれ。できれば俺達もこの世界を()()()()()()()。だがその為には必要な犠牲が付き物なんだな」


「そうかそうか。ならば決まりだ」


彼の決断は早かった。彼は手を前に出すと《魔人》は後ろに下がった。先程《魔人》がいた位置に石の杭が床から伸びていたのだ。《魔人》がそのままいれば串刺しになっていただろう。


「言った筈だ。私が当時惨殺したのは自分の領地を守るため。大層な理由があるかもしれないが、無意味に人々を殺すお前達《魔人》と《魔物》とは手を組むことなどしない」


「ほーう?()()()()()()()と人が変わってるな。時間の経過は人を変えるのだな」


目の前の《魔人》がまるで彼に会っていたかのような発言。そして彼は《魔人》が持つハルバードに見覚えがあった。


「お前、私を軍隊を葬った傭兵の」


「覚えてくれてたか」


「お前のせいで私は。そうか、お前達は《人間》に紛れて歴史に暗躍していたのか?」


「暗躍と言われると少し違う。俺()ただ戦闘をして勝ってその金で女と遊ぶ。その過程でお前の軍隊やら何かの独立戦争やら大戦やら関わっていた」


「ならばなおの事、お前の取引は拒否する。私は犯した罪を向き合ってここに留まるのみ。探したければ他を当たれ」


「期待外れだな。まあいいか。お前の他にも怨霊や封印された《魔物》はごまんといる。見劣りするが他の奴らを解くとするか」


《魔人》はそう言って地下祭壇を後にする。一見隙だらけの背中を攻撃したくなるが彼にはわかっていた。あれは誘っていると。




「おい。ソロモン」


《魔人》はスナゴヴ修道院から離れてすぐに同族に連絡を入れる。


「どうした《皇帝》」


「ブラド・ツェペシュ、通称《串刺し公》はその歴史と違って《人間》側となって俺達とは関わらないと断った。意外に過去の罪を認めるとは当時見た俺でもびっくりしたな」


「何、他の連中もそういった事例を良く言ってる。所詮《人間》の歴史など強者が紡いだ虚実織混ざった紛い物に過ぎない。本当の歴史を見たければ彼女に頼めば良かっただろう?」


「はん。()()()()()()()()のをどう読めと?とりあえず《戦車》の馬鹿のせいで早まったが、ロシアの連中は俺達《魔人》に対して宣戦布告を受け取ったみたいだ。暫くは《ダンジョン》に籠ってくれるだろう。出来れば《適合者》や素質のある奴が見つかれば良いがな」


「それは長い目でやるしかない。とにかく増えすぎた忌み枝を剪定して《人間》という大樹を育てなければならない。わかっているな?」


「俺としても今いる女達が悲しむのは辞めたいがな」













「翔!!」


状況が落ち着いて俺と時雨さんが絹田さんのお見舞いに来れたのは、あの時から1日は経っていた7月26日の午後だった。


時雨さんは集中治療室にいる絹田さんに涙ぐみそうだった。そして何故かいる時雨さんの父親はそんな娘の表情に少し目を逸らしていた。


「応急処置が適切で命に別状はないですが、内臓の一部破裂や複数の骨折が見られます。なによりも問題は脊椎の損傷でしょう」


時雨さんに絹田さんの容態を話した医者はレントゲン写真を見せる。


「彼が意識が戻って確認しないとわかりませんが、脊椎の損傷で神経にも影響していればどこかしらの部位が不随になっていてもおかしくありません。《魔法》による治療も適宜行いますが、元に戻れるかの確証はありません」


「それでも治る可能性があるならお願いします」




「彼は候補から外れたわね」


「何の候補ですか?」


俺はこれまた何故かいる時雨さんと執事の争いを止めた謎の女性に話しかける。何かしら事情を知っていそうだが、そもそもどこの誰なのだろうか。


「それを話すのはまだ早い。君が私のお眼鏡に合えばの話ね」


「一体貴方は何者なのですか?」


「それは……………………後のお楽しみね。それよりも君は期限があるんじゃない?そっちを気にした方がいいわよ」


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は4/23です。ではまた次回

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