Episode 10. Release of the accident
こんばんは
ブックマークしてくれた方々、読んでくれた方々に感謝です。
フォボス率いる《ギルド連合》アメリカ支部のチーム15人は3台の装甲車に分かれ目標の《ダンジョン》へと目指していた。目標の《ダンジョン》の周辺は広大な森林公園であり、この森林公園内にはまるで巡回するかのように《魔物》が徘徊している。
「付近に生命反応。数は5体。巡回の《ゴブリン》のものかと」
フォボスは仮眠を終えている。謎の幻聴は気にはなるがフォボスは部下からの報告を冷静に対処する。
「気づかれずに通り抜けるか?」
「無理。一度止まって通り過ぎるのを待つか、静かに仕留めるかしかない」
よくある小説では《ゴブリン》などの《魔物》は己の肉体や粗末な武器を利用すると思われている。それは中世の時代ではその通りではあるが、現代でも生き残る《魔物》というのは現代の武器を平気で利用する。中には通信機器を利用する者も存在している。つまり巡回している《魔物》に気づかれると彼らはすぐに周囲の仲間に通信で襲撃を報告する。
「全車両停止。気づかれたくない。展開しつつ通り過ぎるのを待て」
支給された武装だがその中にサプレッサーといったものはない。隠密に行うとしたらナイフで一気に5体の敵を排除することだが、そう簡単にできればここまで警戒はしない。
3台の装甲車は停車し、全員装甲車から離れて付近に潜伏する。2分もしないうちに反応のあった5体の《魔物》が現れた。全て《ゴブリン》であり、その内の3体はどこかから入手したAK-47を持ち、そのマガジンとナイフを収納できるリグを装備していた。もう1体はドラグノフを装備しておりマークスマンとして、最後の1体は装備はAK-47だが、その背中には小型の無線機器を背負っていた。
「ガウグア」
「ギガガガ」
《ゴブリン》独自の言語で会話している。言語を介する時点で交渉はできそうだが、彼らは《人類》に対して無条件で攻撃してくる。それは過去の歴史からも証明されている。もちろん例外はいるにはいるが、今この時点で僅かな例外に構う余裕はない。
「ガガガ?」
ここで《ゴブリン》の1体が装甲車によってできた轍に気づく。それを合図に周辺の地面を探り始めた《ゴブリン》の偵察隊。しかしすぐに通信を行わなかったおかげでフォボス達は命拾いした。すぐに合図でナイフで《ゴブリン》達を黙らせる。そして彼らの死体を草むらに隠して一向は装甲車に乗って再び目的地へと向かう。
「え?」
ここで先頭で走っていた装甲車の部下が、自分達の進行方向に向けて集結し待ち構えているのをレーダーで発見した。それをすぐに連絡しようとした瞬間、背後にいた2台の装甲車にいた者達は周辺の樹々から発射されたRPGの弾頭が先頭の装甲車に向かって発射されたのを目撃した。
「襲撃だ!!」
先頭の装甲車の前方部分にRPGが着弾し停止する。被弾して停車はしたものの装甲車は爆発していないので中にいる部下は負傷で済んでいるはず。フォボスはすぐに全員装甲車から退避するように指示を飛ばす。敵は対戦車ミサイルを武装しているため、装甲車にずっと籠城しても狙い撃ちにされる。
「ミサイル兵を最優先に」
被弾していない装甲車からは全員脱出したが、先頭の被弾した装甲車からは後部座席の3人は脱出したものの、運転席と助手席の2人は出ていない。被弾による負傷や死亡が考えられるが、後部座席から出てきた部下の声からまだ2人とも生存している。そのため次のRPGの発射を阻止するにもミサイルを放つ敵の排除を最優先とした。
「《ゴブリン》か」
だがそうやすやすと行動させない。草陰に身をひそめていた《ゴブリン》達がAK-47を構えて発砲する。何名かは《マテリアルシールド》を発動して物理攻撃を防ぐが、残りはすぐに展開できなかったため即席の遮蔽物となる装甲車を壁にして銃撃を防ぐ。
「ギギギイギ」
《ゴブリン》は想定通りの動きをしたとばかりに迷いなくフラググレネードを投擲する。これで完全に身動きを封じたところにRPGで壊滅的なダメージを与える。それが彼らの狙いだろう。
「《エアウィング》」
ここでフォボスは苦手ではあったが風属性の《魔法》を発動させる。彼から放たれた強風によって投擲されたフラググレネードはそのまま投擲した《ゴブリン》達の方へと吹き飛ばされ、《ゴブリン》達の包囲網で各地で爆発する。
「ぎっ!?」
ここでフリーになった部下の1人が樹木の枝の上から装填を終えて再び発射しようとするミサイル兵の《ゴブリン》を討伐する。あとは全員無駄に《魔力》を消費させずに支給された武器を用いてフラググレネードで生き延びた《ゴブリン》の殲滅を行う。
「すぐに連れ出せ」
フォボスはすぐに負傷している2人の部下を未だに前方のボンネット部分から炎をあげる装甲車から引きずり出すように部下に命令しつつ、無事な装甲車の助手席から周辺の反応がないか確認を取る。
「反応なしか」
殲滅が完了したのでフォボスはすぐに治療が行える者に負傷者の治療を行わせつつ、今後の行動を検討していく。
「修理できそうか?」
「無理ですね。爆発はしませんが、ここには修理機材も交換用の部品がない。それに敵は既にこちらの侵入に気づいて迎撃してきた。これ以上装甲車で進んでも罠や待ち伏せだ」
どういうわけか敵は既にフォボス達が《ダンジョン》を攻略するために接近していることを認識していた。今は何とか撃滅したが、今後は対戦車地雷や更なる待ち伏せなどが考えられる。ここで修理できても装甲車はここで乗り捨てるしかない。
「治療はどれくらいだ?」
「応急処置は完了しましたが傷は深い。援護はできるかもしれないが直接戦闘は避けるべきですね」
そして負傷者2人だが動けはするが鈍く、精々フォボス達の戦闘の援護を行うしかできない。
「まだ《ダンジョン》まで3キロだがここで装甲車を放置……」
「何の音だ?」
ここでフォボス達は何かが飛来する音を耳にする。その音は次第に大きくなっていき、すぐさまフォボスは被弾した装甲車を修理できないか調べていた部下に「すぐに装甲車から離れろ」と叫んだ。
「ぐっ!?」
直後被弾した装甲車に向けて砲撃が加えられ、周辺にいたフォボス達は砲撃の影響を諸に喰らった。
「無事なものは!」
「2名死亡!!。治療していたものもダメだ」
「こっちも3名死亡だ」
正しいかはさておき方向では砲撃で7名前後が死亡している。それだけで総勢15名の《パーティー》は半壊だがそれだけではなく、生き残った者達も大小負傷はしている。
「しまった。まさか砲撃も可能とは」
「!?。伏兵!!」
更なる追い討ちをするべく《魔物》達はオーガといった《ゴブリン》よりも肉体が強い《魔物》が出てきた。彼らの武装はRPKであり、接近する個体達は40連のバナナのようなマガジンであり、彼らの接近を援護するのはボックス型のマガジンでRPKを発砲する個体達。
「!?、こいつら弾丸がおかしいぞ」
何名かは《マテリアルシールド》を展開するが、オーガ達の射撃を何発か防いだところすぐに《マテリアルシールド》にひびが入った。純粋な物理攻撃ではかなりの耐久性を誇るのだがそれが数発で目に見えて減っている。つまり弾丸自体なのか発砲する銃器からなのかは不明だが、オーガ達の発砲する弾丸はこちらの防御手段に対抗している。
「くそっ!!どういうことだ」
フォボス達は絶対絶命であった。その時だった。
「《力》が欲しくはないか?」
再びフォボスの脳内で幻聴が聴こえ始めたのだった。
そしてこの現象は日本やアメリカだけでなく、各地で激戦やピンチの状況に陥っている者達にほぼ同時に起こっていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は4/15→4/29です。
ではまた次回




