Episode 11. Power is Justice?
こんばんは。
ブックマークしてくれた方々、読んでくれた方々に感謝です。
「どうなっている!」
アメリカ合衆国は各国と同様に混沌とした戦局であった。まずホワイトハウス周辺が《ダンジョン》化し、国の中枢がほぼ機能を停止させていた。またペンタゴンもその後の《魔物》の軍勢による襲撃により陥落しこれも《ダンジョン》化としていた。ホワイトハウス周辺の奪還作戦も途中で謎の妨害により奪還部隊との連絡が途絶し、その後奪還部隊全滅が確認された。
「各地の《魔人》崇拝主義者によって各州の各都市の警察が対応に追われている。各地の避難所もとっくにパンクしている。しばらくは奪還部隊に人員を回せない」
《ギルド連合》アメリカ支部の上層部及びアメリカ軍の上層部は臨時司令所にて論争していた。《ギルド連合》は時間の経過と共に《ダンジョン》により《魔物》の軍勢の戦力が増大するため、アメリカ軍からも戦力を抽出してほしいという要求に対し、アメリカ軍は各地でテロ行為を行う《魔人》崇拝主義者を名乗るゲリラの治安が先決とし、まずは《魔物》と集中できる環境に専念すべきとして拒否していた。
「貴方がたもわかっているでしょう?今ここで更に《魔物》の軍勢に痛烈な一撃を与えなければ、これまでの犠牲によるダメージを回復されてしまうぞ!」
「一撃を与えたいのはわかる。だが、中途半端な戦力は無駄だ。全力の一撃を与えるためにもひとまずは各地の治安維持が最優先だ」
話は平行線を辿っている。悪戯に時間を消費するのはよろしくないのは双方理解しているが、かといって譲る気はないので互いに譲歩はできずにいた。
「話にならん。それだけ自分達の身の安全を確保したいなら自ら銃を取って確保しろ!」
「自分達の身?民間人の安全のためだ。間違えてもらっては困るな」
終わらぬ会議に呆れた出席者の1人はうんざりしたように会議室から出る。そして会議室の外で待機していた《パーティー》メンバーが会議について話す。
「意味のない会議だ。あれをするなら互いに自分達の最優先事項を進めるべきだな」
「どうされますか?」
「集められるだけの戦力を集めろ。まずは《魔物》の戦力を削るために《ダンジョン》の一つを攻略する。規模は大きくなくて良いが、なるべく重要な拠点となりえる場所はないか?」
「それでしたらここです。ここの《ダンジョン》が各地の都市に《魔物》を送り込んでいる。こいつらが武器弾薬、医療品、食糧といった物資の輸送を阻んでいます」
上層部のプライド合戦の結果を待たず、《ギルド連合》アメリカ支部の中ではトップの実力を持つ《冒険者》であるフォボスは、可能な限りの範囲で最大限の戦果を上げるようと考える。そこで自身の《パーティー》メンバーから、厄介な位置にある中規模の《ダンジョン》の攻略が良いのではと提案される。
「周辺の地図も見せてくれるか?」
「ええ」
メンバーはタブレット端末に件の《ダンジョン》と周辺の地形や都市の情報をフォボスに見せる。
「確かにどこの都市からもアクセスしやすい場所に陣取っているな。《魔人》崇拝主義者の活動もなく、自衛もできているが救援物資を送ることはできないのか」
「ええ。《ダンジョン》にいる奴らが輸送ヘリを撃ち落とすせいで、陸路での輸送しかないがまるで狙い撃ったかのように各地で待ち伏せされている」
「3時間後には《ダンジョン》攻略開始する。すぐに人員と武器や防具の確認を済ませてくれ」
「リーダーはどちらに?」
「話のわかる人に万が一のことを伝えるだけだ。すぐに俺も動く」
ひと足先にメンバーには《ダンジョン》攻略の準備をお願いしつつ、フォボスはアメリカ軍の指揮所で現場へ指示を飛ばす士官を見つける。
「アーサー大佐。少し時間いいか?」
「フォボス殿。結果は?」
「平行線だ。待てないから勝手に動くことにした。3時間後にこの《ダンジョン》の攻略をする。済まないが、周辺の軍には話を通しておいてほしい」
フォボスはアーサー大佐に攻略する《ダンジョン》の位置と時刻を伝える。するとアーサー大佐はすぐさま部下に周辺で展開している部隊の情報を集めさせた、
「ではこちらも都市の民間人の救助の援護という名目で増強させる。現地の部隊の指揮官に話はしておく。奴らに余裕があれば車両や武器も提供できるだろう」
「感謝する」
「だが表立っての協力は不可能だ。確実に行えることが起きない限り動けないのは承知してほしい」
「いや、武器や装甲車の提供だけでも感謝だ」
「では健闘を祈ってる」
それから2時間ちょっと経過し、フォボス達は目標となる《ダンジョン》から5キロ離れたアメリカ軍臨時拠点に集まっていた。そしてフォボスは現地の指揮官に確認をしていた。
「これだけの提供を?」
「アーサー大佐から可能な限りの支援を頼まれた。あの方がそう言うならばこちらとしてもそれなりの誠意を見せなければならないからな」
アメリカ軍と《ギルド連合》は現在非協力関係。あまり仲良くないのだが、それはあくまで上層部の話であり現場からしたら誰で合っても協力しなければならないのはわかっている。プライドやら縄張りやらを言ってる者は現状が見えていない。
アメリカ軍からの提供は3台の装甲車と今回攻略にするのに集まった合計15名分の武装やアイテムであった。そして《ダンジョン》周辺に現れる《魔物》やその武装の情報の提供もしてくれた。
「ここ一帯の上空を支配しているのが《ワイバーン》と《ダンジョン》にいる対空兵器を担いだ《ゴーレム》。その周辺は《ゴブリン》の先兵とする《オーガ》が主体となっている。特に《ゴブリン》と《オーガ》はAKといった量産型の銃器やナイフといったこちらと変わらない武装をしている」
「ワイバーンの数や現在の場所はわかるか?」
「ワイバーンは現在ここから数百キロ離れた箇所にいる。奴らの飛行速度からして、この《ダンジョン》に辿り着くには30分もかからないだろう」
「となると《ダンジョン》侵入は手早くしないとワイバーンの援護もありえるか」
「最悪ですが、こちらからも防衛という名目でしたら、《ダンジョン》周辺の上空は援護可能です」
アメリカ軍は《ダンジョン》攻略には参加しないが、自分達の拠点を守るという建前でワイバーンなどの妨害を邪魔してくれるとのこと。フォボスは絶対に《ダンジョン》の攻略を成功しなければならないなとし、すぐさまメンバーや集まった人員と連携の確認をする。
しかしここで連日の疲労からある幻聴が頭に響く。
(力は欲しくないか?)
こんなところで疲労による幻聴はマズイなと思いつつ、すぐに武装を整えるとフォボスは装甲車の後部座席へと移動する。
「リーダー。移動中は休んでください。多少揺れますが少しは疲れは取れます」
メンバーも連日の疲労が顔に出てると指摘され、これから《ダンジョン》へも向かうのだが、合流地点までは休んでくれと気を遣われた。
「ありがとう。少し目を閉じる」
フォボスはそう言って目を閉じる。しかしここでまた幻聴が響く。
(他を圧倒する《力》が欲しくないか?)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は4/1です。
ではまた次回




