Episode19. The history of decline
こんばんは
ブックマークしてくれた方々、読んでくれた方々に感謝です。
ようやく連載再開できます。
「さてと。そろそろ奴らは《塔》へと挑む時間かな?」
《戦車》はそろそろ自分の担当のエリアで《人類》が大きく動き始めると予想していた。彼はこの時は把握していないが、湊たち《ダンジョン》攻略パーティーは続々と集結させている。まあ最低限の巡回だけしか配置していないので、《魔物》が自分勝手に行動しない限りはほぼ全員辿り着く。
「もう少し他の連中のを見たかったが、ここで変な奴に渡されたくはないからな」
《戦車》は端末を《アイテムボックス》にしまい大きく体を伸ばす。現在の戦況は奇襲した《魔物》側の優位。《人類》側も何とか防衛線を構築したことで何とか進行を防いでいるが、やはり砲撃陣地を先に設置した《魔物》側が《人類》側の防衛線を崩していた。何よりも《人類》側の防衛陣地である都市内部まで砲撃の射程圏内に入ってしまったとなると、《人類》側も攻めに転じるのが難しい。
「今頃、《ダンジョン》攻略の戦力を防衛に回せばこんな事態にはなっていないとかほざくバカがいるんだろうな」
《戦車》は《人類》側の……日本の自衛隊の将官辺りの者たちの嘆きを予想しつつも、《魔物》側の指揮官へと連絡を入れる。
「どんどん攻めて市街地戦に突入しろ。最初は市街地戦の経験がなくて大変だろうから、使い捨ての部隊で攻め方を学習しておけ。そして確信を持ったら本命をぶつけて墜とせ」
「ここはだめだ。市街地に撤退して持久戦に持ち込む」
懸命に都市への侵攻を防いでいた自衛隊と《ギルド連合》の《冒険者》たちだったが、奇襲と砲撃陣地からの砲撃、《魔物》たちの物量と鹵獲した兵器と武器。即席の陣地や即席の防衛線では突破されるだけであった。なので苦渋の決断として自分たちの陣地へと撤退して、陣地内で《魔物》の侵攻に迎え撃つ選択をとった。
既に迎え撃つ準備は整っている。何より《魔物》たちは知性があってもそこまで高くはないのが多く、いくら兵器や武器を持ったとしても、単体で見れば現代でも戦えないほどではなかった。それが前線からの報告であった。
「砲撃範囲から離れろ。敵の砲撃部隊は別動隊に任せておけ。我々はできるだけ敵を狩場に誘い込め」
こうして防衛線は防衛陣地まで後退する。相手が人間ならば罠を警戒するだろうが、《魔物》たちの動きはこれ幸いだと戦車部隊が前進を始めた。
「いいか?限界まで引き付ける。ここで撃ったら奴らは警戒してこない」
防衛部隊は配置につくとまずは今回の《魔人》の宣戦布告で徴兵された者たちにいたずらに攻撃しないように厳命する。一気に敵を戦力を削ぐには適切なタイミングが必要になる。だからこそ下手なタイミングで攻撃を開始するわけにはいかない。
「ゲゲゲゲゲ」
《魔物》戦車部隊が都市内部に侵入した。それに合わせて砲撃もやんだ。味方への巻き添えを考慮しているようであり、おそらく今頃は砲撃陣地を新たに設置しているのだろう。
「グヘ?」
ここで随伴歩兵のゴブリン一匹が都市の道路、その中央分離帯の植樹部分に丸い円盤が仕掛けられていることに気づいた。ゴブリンは興味本位でその円盤に触れる。だが時を同じく、戦車が通った道路の真下から巧妙に隠蔽された対戦車地雷が起動した。
「攻撃開始!」
対戦車地雷の起動と共に生き残った《魔物》たちで一斉に攻撃を開始した。それと共に都市内部に潜伏していた防衛部隊も行軍中の無防備な《魔物》たちへと攻撃を開始する。
なぜ《魔物》たちが直前まで地雷や潜伏している防衛部隊に気づかなかったのか。その理由は《魔法》であり、《魔法》が使える《冒険者》が姿を見えなくしたり、存在を薄くするといった効果の《魔法》を発動させていた。
「別動隊から連絡。敵の砲撃部隊を複数確認したそうです」
それと共に都市外で展開している敵部隊の中に砲撃部隊を発見した。敵の砲撃部隊を排除できれば今後の展開を優位に進められる。
「揃ったな」
湊たち《ダンジョン》攻略部隊も集結しいよいよ攻略を開始しようとしていた。《ダンジョン》の周辺には不気味なことに《魔物》が一切確認できない。いるとしても湊たちが遭遇したような防衛陣地の防衛部隊のみ。
「では攻略を開始する」
全員揃い、一通りのバフを済ませた攻略部隊は塔へと入ろうとする。だがその時だった。
「そろそろこっちとも遊ぼうか?」
上空から飛来してきた《戦車》が先頭の《冒険者》の一人を潰して着地した。《戦車》の登場に熟練の《冒険者》たちはすぐに《戦車》へ攻撃をしようと《魔法》を放つ。放った《魔法》は少ない《魔力》でも高火力の威力を発揮する《ファイヤーボール》。それが一気に3つも放たれたが、《戦車》は左手に出現した金色の盾が全ての攻撃を弾いた。
「ほう?実験的に渡されたものだが中々だな」
《戦車》は攻撃を防いだ盾が砂のように崩れ去ったのをみてそう評価した。話しから《戦車》の装備ではないようだった。
「さてと。ここで少し数を減らすことにしよう」
《戦車》は両手から黄金に輝く剣を手首から生やす。《魔力》で作られた《魔法剣》ではなく、自分の肉体の一部を武器とする《生体武器》の一種だと一同は判断した。《魔力》によって生成されていないので、長期戦に持ち込んで《魔力》を枯渇させても意味がない。さらに言えば《戦車》の武器がそれだけではないのは当然だ。
「ふむ」
《隠者》はイギリスの片田舎で《魔法使》に囲まれていた。イギリスは《魔法》の歴史が長く、現代の科学を織り交ぜた《魔導》よりも純粋な《魔法》にのみに注力する。またイギリスには《魔法》の扱いに長けている《エルフ》の自治区があり、それ以外にも要因があるがイギリスは《魔法》の実力がトップクラスであるといえる。
「油断するな。《隠者》が油断ならない相手なのは先代たちからの警告だ」
《エルフ》は非常に長寿の種族であり、以前の《魔人》たちの恐怖の侵攻を直接体験している存在も少なくなく、今《隠者》を囲む者たちは親世代から《魔人》の恐ろしさを耳にたこができるほど言い聞かされている。
「やれやれ。大人しく攻撃してくれれば楽なのだがな」
《隠者》は中々攻撃してくれない《エルフ》たちにこのまま待つのも退屈だとばかりに動き始めた。《隠者》の姿は杖を突いた老人。《魔人》がどういった生態なのかは一切不明であるので、見た目から判断するのはやってはいけないが、身体能力も優れている《エルフ》の動体視力なら反応しきれる速度でしか動けないと《エルフ》は認識していた。
「封じろ!」
《エルフ》のリーダー格が《隠者》の足が動いた瞬間に部下たちに攻撃を指示する。《隠密》で隠れていた周囲を包囲していた《エルフ》たちが一斉に矢を放つ。《エルフ》たちは放った矢には《魔法》が付与されており、《隠者》の周りの地面に突き刺さった矢はまるで狙ったかのように規則的に幾何学的に刺さり、刺さった矢から《魔力》によって《魔法陣》が形成される。
「《封印陣》。それをここまで昇華するとは。ならば私も《人類》の技術の進歩で打ち破ってみましょう」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は11/26です。ではまた次回




