Episode 21. Turn World
こんにちわ
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後々修正するかもです。
「下手に止まるな!動き続けないと砲弾や機関銃の餌食になるぞ!」
湊達がいる拠点防衛線の最前線は拠点となっている都市の郊外にある自然公園や畑、そして山からなる自然豊かな山間部であった。山の向こう側に《魔物》が操縦する戦車部隊が都市への攻撃を行うために山越えをしようとしている。自衛隊を中心とした防衛部隊は何とかこの戦車部隊を都市内部へと侵攻するのを阻止し、最終的には《魔物》を退けなければならない。
《魔物》が秘密裏に掘ってあった地下道はこの山間部を迂回することなく通り抜けるものであり、既に何台かは抜けていた。そこでまず防衛隊は戦車からの一方的な蹂躙を防ぐ為にスモークを焚いていた。スモークは戦車の武装の1つであるマシンガンの弾幕や主砲から歩兵や兵器を守る役割があり、これによって一先ず防衛部隊の展開はできつつあった。なので次は既に抜けてきた戦車の排除である。戦車単体なら側面から対戦車ミサイルであったり、それこそスモークで視界を奪って貼り付いてC4といった爆弾を付けたりと色々方法があるが、問題は抜けてきたのは戦車だけでなく随伴歩兵の存在であった。
現在突出している敵戦車の随伴歩兵はゴブリン。リザードマンのような熱探知の《スキル》を持つ《魔物》が相手だとスモークを焚いたとしても透けてしまって意味がなくなってしまうが、今回の場合は特殊装備を付けていないため、防衛隊は残りを気にせずにスモークを更に焚く。
「スモークの中にフラググレネードを投擲していけ!!」
スモークを相手に投擲しているため、正確に相手を狙い撃つのは難しい。だが、スモークの中に敵がいるようになっているため、グレネードのような投擲物で範囲攻撃をすれは相手は見えにくいスモーク越しでグレネードの爆発から避けるのは難しい。防衛隊の予想通り、戦車にはグレネードの爆発や爆破による破片への影響は皆無ではあるが、随伴歩兵であるゴブリン達には甚大な被害を与えられる。
「対戦車兵!」
爆破によって一部スモークが晴れれば戦車からの射線は通る。だが逆に言えばこちらも戦車を狙い撃ちにできるということ。対戦車兵が一般的に携行している対戦車ミサイルは誘導式ではなく爆発範囲も狭いが、直撃すれば甚大なダメージを与えるもの。訓練された自衛隊員による対戦車ミサイルは殆どの突出した敵戦車の破壊に成功する。だが《魔物》達がこれで勢いが止まることはない。言ってしまえば地下道から出てきたのは全体の1割に満たす程度なのだ。
「こちら本部。そちらに多数の《魔物》が向かっている。オークを中心とする随伴歩兵と戦車部隊だが、その後方から擲弾兵らしき《魔物》も確認されている。小隊規模で分散せよ」
本部からの観測により先ほどのような戦車と随伴歩兵の《魔物》の軍勢が迫っていると報告を受ける。それは想定通りだが、問題が《魔物》が迫撃砲のようなものを扱っているとのことだった。これでは戦力を悪戯に集結されるとそこを狙い撃たれる恐れが出ていた。なので本部は戦力を最低限の損耗で抑えたいので、小隊規模での行動をするように命令であった。
「地下道を即席の塹壕として利用しろ!来るぞ」
山間部の稜線から敵戦車部隊がオークの随伴歩兵を引き連れて現れた。そして敵戦車は防衛隊に向けて一斉に主砲を発射する。
「隣の戦場は彼らに任せる。俺達は俺達の任務をこなすだけだ」
一方1つ隣のエリアから塔型の《ダンジョン》を目指す湊達《冒険者》達。彼らの《魔力》の損耗を抑えつつ護衛を兼ねた自衛隊員が斥候として動いてくれており、湊達は戦闘は回避でき隣の戦場の砲撃音と銃声から仲間達の心配ができるほどの余裕はあった。
「500メートル先にゴーレムらしき《魔物》を確認。武装は片腕にマシンガンを装備。背部に弾薬らしきものを背負っている」
「了解した。回避できそうか?」
「視界が開けており避けるのは困難だ」
「了解。本部、こちらビー4。応答願う」
湊の所属するパーティーのリーダーが《ギルド連合》側の指揮官へ連絡を試みる。秘匿回線ではあるものの、湊達はなるべく隠密行動したいために緊急時以外では本部との連絡は控えている。しかし避けられない戦闘であり迂回している余裕がないのだ。
「こちら本部。どうぞ」
「目標から南に20キロ地点に到着。斥候部隊から武装したゴーレムらしき《魔物》を確認。避けられそうにない」
「確認した。わかっていると思うがそこは廃村となった場所である。上空からではゴーレム10体だが屋内などにもいると思われる。十分に注意されたし」
「了解した。他のパーティーは?」
「問題なく進行中だ。では武運を祈る。本部アウト」
他のパーティーは順調に進んでいるみたいだった。足並みを揃えるにもまずは目の前の《魔物》達を早々に討伐しなければならないだろう。
「戦闘準備だ。まずは屋外の奴らを排除する。ビー3は左側を頼む」
「我々は?」
「援護と敵の応援がないか監視を頼む」
湊が所属するパーティーはビー4。そしてもう一つのパーティーであるビー3と共に行動を共にしている。そこでまずはパーティーごとに分かれて確認できるゴーレムの討伐を図る。
「ロックオン完了」
「こちらもロックオン完了」
《冒険者》は自分の腕を真っ直ぐに伸ばし、掌を屋上で警戒中のゴーレムに向けている。そして狙いを定めると他の者と合図と共に《魔力》を伸ばした腕に集中させる。この時点で《ゴーレム》や《魔力》探知に優れた者は《魔法使》の存在を認識する。
圧縮された《魔力》の塊が弾丸となり狙ったゴーレムに高速で飛来する。高速で飛来した《魔力塊》はゴーレムのボディーに直撃。そのダメージは内部の機構を破壊し《魔核》も破壊に至ったことで戦闘不能にさせた。
「展開しろ」
そんな不意打ちの先制だったがそれに対してのゴーレムの行動は素早く。《魔力塊》の軌道から逆算して攻撃してきた《魔法使》に大体のいる位置に向け、装着されたマシンガンの乱射を始めた。明確な狙いを持っていないが、だからこそマグレのように当たってしまう恐れが高い。
湊は《魔法》を発動せずに身体能力と反応の早さでゴーレム達の弾幕から逃れる。逃れられなかった者達は仕方なく《魔法》を発動させて防御に専念する。
(デカい)
最初にゴーレム達に辿り着いたのは戦闘経験があった湊。ゴーレムは大柄な男性のような大きさで大体2メートル。フレームに鉄板のようなプレートだが、しっかりと中に石やコンクリが詰まっているために質量もある。
湊は拳に《魔力》を込めると1番近い個体に殴る。《魔力》で拳を覆ったことで拳でのダメージはなく、また《魔力》の籠もった打撃は《魔物》であるゴーレムにはダメージになる。だが破壊には至らないため、ゴーレムはすかさず反撃に出る。
質量を持った腕の振り払いを湊は《身体強化》で軽々と飛び越える。そのままゴーレムの首元に巻き付き頭部部分の破壊を試みる。だが後方にいたゴーレムが仲間ごとマシンガンを発射した。ゴーレムは《魔物》ではあるが、痛覚を持たない機械的な肉体を持つために自分の肉体を犠牲にした戦略が取れる。
湊は咄嗟に巻き付いたゴーレムを盾にしてマシンガンの射撃を防ぐ。だが巻き付かれたゴーレムは右肘で巻き付く湊を地面にたたき落とそうとする。この時にゴーレムの右腕にはマシンガンが装着されている。その機構部分を後方で監視している自衛隊員の援護射撃によって撃ちぬかれたことで攻撃が中断された。
「貫け」
湊は人差し指をゴーレムの胸部分に指す。そして指先から《魔力》をレーザーのように圧縮して照射する。レーザー光線となった《魔力》はゴーレムの胸部を貫通。そのまま内部にあった《魔核》を貫いた。
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次回は10/8です。ではまた次回




