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World Apocalypse  作者: miyafinder
Chapter 2. Peace is the end of despair?
17/37

Episode 17. The stars of light and darkness

こんばんは

ブックマークしてくれた方々、読んでくれた方々に感謝です。



「エルメス」


愛美……《魔人・恋人》は同類である《魔人・皇帝》に呼び止められる。彼女はいよいよ約束の期日である明日に備えて準備と覚悟をしていた。


「何の用、オシリス?」


「お前が定めた期日が明日なんだ。だからこそこの時点でお前の心境や考えを聞いておきたいんだ」


《皇帝》は横暴で傲慢、自分勝手な印象が目立つが、目的を達成するために入念な行動をしている。つまり《皇帝》は《恋人》がまだこの計画に賛同しきれていないと認識しているのだ。だからこそここではっきりしておき、今後の行動に反映させていくつもりだろう。


「馬鹿二人の喧嘩の時にでも言ったけど変わらない。もし彼が私と決別したとしてもね」


「本当か?二人だけの世界に逃げるつもりか?」


捉え方によっては《恋人》と《恋人》が《選別》した人物と自殺するかのような言い方だが、《魔人》達は()()()()()()()。いや、厳密に言えば()()()()()()()()()()。なのでここで《皇帝》が言っているのは、二人でどこかに逃避行する気ではないのかということだ。《魔人》達が用意した《方舟》とはまた違った場所に。


「そういう貴方はどうなのよ」


「全員と話した。しっかりと伝えて既に《選別》を終えたよ」


「貴方は強いのね」


「いや。弱いからこそ早めに決着を付けたのさ。エルメス、俺はしばらく《人類》の社会に溶け込んでいてわかったことがある。物事において単純に強弱はない。個々によって得手不得手がある。他と比べるのは止した方が良い」


「それは貴重な意見をどうも」


《恋人》は端末を操作する。そして一つのメールをある人物の端末へ送信する。


「まあお前や相手がどう選ぶか。見届けさせてもらうことにするよ」


それはつまり《皇帝》が《恋人》と共に7月31日で行動を共にするということである。


「勝手にどうぞ。でも私からは離れてね」


「相手の意図に関係ないが、絶対に監視がつくだろうし襲撃があるだろう。《使い魔》は大丈夫か?」


「わかっているわよ」













「ん?」


俺は一睡も出来ずに約束の日を迎え朝日が昇っていた。結局あのガスマスクの意味深な言葉と走馬灯のように蘇る愛美との日々。何も思っていなかったがいなくなって彼女の存在に気づく。俺は心のどこかで彼女を……………………


そう思っていたところ、6 A.M.丁度に俺の端末に1通のメールが届く。恐る恐るそのメールの差出人と件名を確認する。差出人は「Hermes」で件名は「To the place of the Best Memories」と表示されていた。


エルメスは愛美が《魔人》と告白した時に同族と思われる女性が言っていた愛美の本当の名前。つまり愛美から約束に関しての連絡事項だろう。件名は「1番の想いでの場所へ」。本文を見てみないとわからないが、俺はその場所には見当が付いていた。





Dear Mr. Minato Hoshi


Hi Minato.

(湊)


How's everything?

(ごきげんいかがでしょうか?)


I am sorry I couldn't contact you right away.

(すぐに連絡できなくてごめんね)


And I'm sorry I didn't tell you until now.

(そして今まで黙っててごめんね)


We came back as enemies of humanity for a purpose.

(私達はある目的で人類の敵として再び戻ってきたの)


Let's talk about details in person.

(詳しいことは直接会って話しましょう)


You know where it is, right? I'll meet you there at 8 P.M. o'clock.

(場所はわかるよね?あそこに午後8時に待ち合わせよ)


I'm looking forward to your reply.

(返事を楽しみにしているわ)


With love.

(愛を込めて)




英語で書かれた文章で簡潔に纏められた内容。送ってきた差出人のアドレスは奇妙な事にバーコードのようなもので《隠蔽》されている。仮に俺が《ギルド連合》にこのメールを解析を出しても、アドレスから愛美の場所を特定するのは時間が掛かるだろう。この非常時にそれをできるだけの余裕があるのかはわからない。


俺は一先ず空腹を満たすべくリビングへ来るとそこには両親が待っていた。


「湊。手短に言う。お前の選ぶ選択肢に俺達は関与しない。だが、お前の選択によって彼女か()()か。どちらかと敵対するか、はたまたどちらともなのか。その覚悟はできているな?」


「正直言って難しいけどね」


「当たり前だ。だが決めてもらわないといけない。それは例えこんな事態でなくても絶対に生きている限り迫ってくる運命の分かれ道でもあるからな」


そう言って二人は職場へ戻る。食卓テーブルには既に朝食が並んでいる。


「俺に場所を訊かなかった。監視がついているから訊く必要はないってことか」


それも恐らく尾行に関してはトップクラスの《冒険者》か《探索者》か。とにかく俺が選択するまでは手を出さないという方向で話が進んでいるのだろう。




俺と愛美の「1番の想いでの場所」

そこは俺の自宅から近い自然公園しかないだろう。


俺と愛美が初めて一緒にお出かけして、初めて一緒に迷子になって、初めて互いの本心を言い合って、初めて喧嘩して、初めて仲直りして、初めて一緒に流れ星を見たあの丘の上。


あれは小学校を卒業して中学に入学するちょっとした時、愛美から二人で天体観測をしようと提案された。あの日は数百年に一度と言われる流星群が観測されると話題になっていた。だが日本ではまず見られないだろうと日本の誰もが期待していなかった。


「本当に見えるのか?学者の誰もが日本では見られないって」


「机上の空論で物事を語るの?実際に見えると思わないと見えないものなのよ」


その自然公園は区が管理しているのだが、無料で公開されており常時人がいる。なので夜中に子供が二人で訪れても安心できる。それに俺と愛美は良くその公園に入り浸っていたので、管理をしている職員とは顔見知りであった。


馴染みの職員に挨拶をして俺達は自然公園の中心部へと到着する。


そこはコスモスの咲く丘であり、丘の1番高い場所では大きなモミジの大木があった。ここは付近でも1番高い場所であり、ビルといった人工物によって遮ることはないので夜空を観測するにはうってつけの場所である。


「そろそろよ」


「一体何を目安に」


愛美は端末を片手にタイミングを計っていた。それが何のタイミングか。それがわかったのはその直後であった。


「嘘だろ?」


「ね?信じれば叶うってね」


雲一つ無い空に無数の流れ星が翔る。それは幻想的な風景となり夜空を可憐にする。だが俺は何故かそれよりも流れ星と夜空を見て年相応の興奮を見せる愛美に何とも言えない感情が芽生えていた。今思えば、それは愛美を一人の女性として認識したていたのだろう。


「お待たせ。待ったかな?」


「いや。直前に着いたよ」


そんな想い出の回想をコスモスが咲き誇る丘でしていると約束の8 P.M.に愛美が現れた。彼女は真っ白なワンピースに腰にはレイピアが鞘に収まった状態で提げていた。


「色々と訊きたい事があるだろうけど、あんまり時間は掛けられないよ」


どうやら俺の選択を訊く前に疑問点を教えてくれるようだ。素直に教えてくれるかは別だろうが。


「じゃあ《魔人》とは何だ?」


まずは《魔人》の正体。《魔物》を操り《人類》とは比較にならない力を持つ。殺しても復活する怪物。だが本当に《魔人》とは何なのか。それを定義するものはない。


「簡単に言えば、私達はこの《世界》から逸脱した《概念》」


「《概念》?」


「次期にわかると思うけど、君達《人類》の居るこの《世界》。それはいくつかの《概念》の上で成り立っている。物理法則しかり数学しかりね」


愛美は俺1人にしては大きく声を響き渡らせている。これは俺でも気づけない監視者や彼らからこの状況を観察する《ギルド連合》に聞こえるように彼女が配慮しているのだろう。


「私達も本来ならこの《世界》の《概念》。でもそこから逸脱してしまった」


「それに《魔物》は?」


「ええ。《魔物》もこの《世界》から逸脱した結果の産物。つまり《ダンジョン》は《世界の歪み》とも言えるわね。《歪み》は周辺を巻き込んで大きくなる」


「《歪み》の発生源は?」


「エネルギー。生命力、霊体。物理で習う位置エネルギーや運動エネルギー。そういったものから」


「つまり《魔物》は絶滅しないと?」


「《歪みの根幹》を消さない限りね。教えられるのはここまで。後は自分達で調べなさい。他に質問は?」


色々とわからないが、とにかくこれ以上この話題とそれから発展した話題には話さない。なので俺は別の質問をする。


「お前達の目的は何だ?世界征服か?」


「違うわ」


はっきりと愛美は答えた。では


「世界滅亡?」


「違う。《世界救済》。これに尽きる」


「《救済》。それは自分達流のことだよな?」


「そうね。でも()()()()()()を乗り越えるには必要な試練」


「お前達に力を見せろということか」


「ええ。具体的に言えば私達《魔人》の用意した《試練》を突破する。それが()()の貴方達《人類》の目標よ」


「6つの塔もか?」


「あれは…………《パンドラの塔》と言うべきね。《希望を語り希望を手にした時、絶望が訪れる》。それが私達《魔人》が《人類》へ伝えるメッセージよ」


「はっきりとは教えてくれないのだな」


「程よい知識欲は掻き立てないとね。でも欲を掻くと知らなくても良い知識を知る事になる。それも《試練》」


愛美は質問の時間は終わりとばかりに両手を叩く。直後、彼女の背後からあの時現れた女性が懐中時計を片手に現れた。彼女の背後には巨大な長針と短針、そして文字盤だけが浮かんでいた。そして浮く時計は11時59分と指していた。


「時間が迫ってきた。じゃあ訊くわ。湊。私と共に一緒に人生を歩まない?」


状況によってはプロポーズにもなる言葉。だがここでは意味は全く違う。


愛美は俺に向けて手を差し出す。ここで握手をすれば…………。いや、握手を選択すれば起こりうる事態と来るべく襲撃は必然だろう。だが俺は違う。俺ははっきりと考えを持って愛美に返事をする。


「ごめん。俺は、俺は」


俺は愛美の差し出した右手を上に優しく自分の手を置いて愛美の腕を下げた。それは確実に愛美を拒否するという答えだった。


「そう」


愛美は少し哀しそうな表情をする。


「確かに愛美と一緒にという考えもあった。でも俺は《魔人》ではない。俺は《人間》であり《人類》の一人として、未だに正体も目的も明かさない《魔人》とは手を取り合えない」


そんな俺の答えの近くで、懐中時計を持ったクロノスが呟き始めた。


「アインス、ツヴァイ、ドライ、フィーア、フュンフ、ゼクス、ズィーペン、アハト、ノイン、ツェーン、エルフ」


そして彼女の背後に浮く時計が12時を指すと同時にクロノスは


「ツヴェルフ!!」


そう高々に叫んだ。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


ちなみに今回の「The stars of light and darkness」。直訳すると「光と闇の星」になりますが、私は「光明と暗黒の星」と表現します。別名「希望と絶望の星」とも表現します。


もしかしたら話が進めば今まで投稿した全ての話のタイトルがどういった日本の訳になっているのかを書くかもしれません。その際に多少元のタイトル名が変わるかもしれないけど、意味合いは変わりません。


次回は8/13です。


「今ココニ、《十三ノ試練》ヲ与エル。《人類》ヨ。神ハ乗リ越エラレル試練シカ与エナイ」


ではまた次回

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