Episode 15. A two-faced devil
こんにちは
ブックマークしてくれた方々、読んでくれた方々に感謝です。
昨日23時に投稿しよーとして、昼寝してたら起きたのは17日の午前1時でした。ビックリです。
「これは?」
《ギルド連合》アフリカ大陸支部はこの異常事態の中、考古学者チームが見つけた古代遺跡に異変が起きているという報告を聞き、すぐさま高ランクの《冒険者》を派遣した。古代遺跡で確認した異変の中心では高ランクの《魔物》の反応があったからであり、この《魔物》が避難所や都市へと移動したら被害がどこまでになるか想像できないのだ。
そして派遣された《冒険者》達はようやく目的地の古代遺跡へ到着した。古代遺跡の外観などは航空写真や調査時の写真などで把握していたのだが、彼らが見たのは全く違ったものであった。
「バオバブの木の異常発生に未確認の塔」
土台は古代遺跡のものなのだがその上から高さ50メートルはありそうな程、広さは人が横に20人以上は並べる程であり、周辺にはアフリカでは悪魔の木と言われるバオバブの木がまるで塔を巻き込むようにいくつも生えており、塔に足りない安定性を補強しているようにも見えた。
「中から高レベルの《魔物》の反応。恐らくこの塔に」
《冒険者》の一人は探知能力に優れており、突如現れた塔の内部に高レベルの《魔物》の反応を確認した。よって《冒険者》達はこの塔の中に入らないといけないのだ。とりあえず作戦本部に今の状況を報告しようとする。古代遺跡に向かう途中で山を登るのだが、山では電波が悪く無線などが繋がらないが、今なら《魔力》を用いた無線や《スキル》を利用しても強襲に備えられる。
「ダメだ。《魔力》妨害を受けている」
しかし《魔力》による無線を行おうとするも繋がらない。《スキル》でも試しても結果は同じ。《魔法》や《スキル》の発動ができない。だがこれで判明したことがあり、《魔法》や《スキル》といった《魔力》を使ったものを無効化しているのではなく、一定範囲内の《魔力》を外に漏洩しないような結界のようなものが張られている。どこまでが範囲かまでは不明だが塔を中心に結界が張られている。《魔力》を用いない無線などは元々繋がらない以上、《冒険者》達に全ての判断が委ねられていた。
「進むしかないだろう。塔の中にいる《魔物》がいつ出てくるかなどわからない」
ここで《冒険者》達のリーダーは塔の内部へと侵入して《魔物》の討伐を提案した。他のメンバーは特に反対する理由もないので、各自バフを済ませると塔への侵入を試みる。
塔は慈善に地上部分に出入口があるわけではなく、地上から高さ5メートル程にある空洞から内部へと侵入できそうなところを発見した。普通の《人類》ならそこに向かうのは難しいが彼らは高レベルの《冒険者》。各自で空を飛べる《スキル》や《魔法》、魔導具を有している。だがいつ戦闘が起こるかわからない為、無闇にそういった方法を取る事はしたくない。他に空洞へ向かう方法があるならそれを利用する。
よって彼らは塔に巻き付くバオバブの木の枝を伝って塔の内部への侵入を試みた。バオバブの木の枝は太く折れる心配はしなくて良いため、彼らは素早く枝から枝へと飛び乗っていき最終的には塔に巻き付いた部分から三角飛びの要領で塔の空洞の中へと侵入する。
「これは《ダンジョン》か」
内部はまるでゲームの塔の階層のように、一定の高さに床が設置されており壁に設置された螺旋階段から上層部へと向かうような形になっていた。そして螺旋階段へ向かう途中には視認できるバリアが張られており、何かをしないと上へは行けないらしい。
そして《冒険者》にとってこういった構造の塔に見覚えがあった。この塔は《ダンジョン》であると彼らは確信した。
「『試練を突破しろ。さすれば御方への謁見に近づく』か。この御方が反応のあった《魔物》か」
「いつ動くかわからない。やるぞ」
彼らがいる階層の中心には台座があり、古代文字で上層部に《魔物》がいるので、会いたければ階層ごとに設置された試練を突破しろと簡単に訳せばそう書かれていた。もしかすると自分達から遭わなければ高レベルの《魔物》は外には出ないかと思われるが、それが絶対とも限らない以上は自分達が確かめるしかない。《冒険者》は台座に《魔力》を送ると台座は反応する。
「複数の《魔物》の反応。来ます!!」
台座が消滅すると階層の端っこから異空間が出現しそこから多数の《魔物》が出てきた。出てきた《魔物》はゴブリンやオークといった知られたものではなく、名前もない形も不明な化け物という言葉そのものだった。
共通して言えるのはこの世界の虫たちをモチーフにしているようだった。形だけ言えば現れた《魔物》の種類は三種類。蟷螂、蝶、百足。蟷螂は胴体部分に人間の顔のようなものが浮かんでおり、蝶は口の部分がトラのような鋭い牙を持っており、百足に至っては足の部分が人間の腕や足に変わっており不快感を与えるような見た目であった。
「おっ」
《皇帝》は各地に設置した通称《悪魔の塔》の一つの攻略が始まった事に気づいた。すぐさま近くにいるゲームをしている《女教皇》へ報告するが、彼女はゲームに集中しているのかソファーで寝っ転がりながら「そーなんだ-」と返事を返した。その対応に《皇帝》は《女教皇》の耳を塞ぐイヤホンを取り上げた。
「ちょっと!?何するの!!」
「《悪魔の塔》はお前の役割だろ。何もしないお前に変わってやってる奴がいるんだから、《悪魔の塔》ぐらいは管理しろ」
「管理も何も攻略できればそれまで。できなければ力不足だっただけよ」
「お前、ソロモンの前でも同じ事を言うのか?」
「わかったわよ。でもまだ私が介入することはないわよ」
「その根拠は?」
「アフリカの塔でしょ?あの怠惰の悪魔がわざわざ私達の指示を聞くと思う?」
「平時だったらな。今は非常時だ」
「いいのよ。どうせ7/31までは私達は本格的には手出しできないし」
「ねぇ。君誰?」
彼女との出逢いは偶然のものだった。事故で妹を亡くしてその事実から目を逸らして逃げ出した時、彼女は行き倒れていた。今思えばあれが演技だと知る事は当時まだ小学生に満たない俺に判断できる筈はなかった。
それから彼女は藤家に引き取られて一緒に過ごして、穆成とも一緒に成長していき……そんな日々が続けば良いとは思っていた。心の底ではそう思っていた。いつかその関係が変わるとは思っていたけも、こんな形で崩壊するとは思ってもみなかった。
「湊。今いいか?」
俺が休んでいる横で穆成が話しかけてきた。俺は被害が辛うじて起こっていない自宅に待機となり、自宅のある街は避難場所として付近の避難民達の受け入れ場所となっていた。
穆成やその家族全員無事なのだが状況は芳しくない。まず主だった大都市に《魔物》やそれを生み出す《ダンジョン》の出現。また衛星などの使用不可、各地のインフラ網の破壊などこれが日本だけでなく世界中の先進国で起こっている。
アメリカではホワイトハウスやペンタゴンなども《ダンジョン》に飲み込まれているらしく、一部の国は国民を徴兵しているのだとか。日本も現状の自衛隊員や《ギルド連合》日本支部の総戦力で奪還できるか怪しいらしい。
「どうした?」
「愛美の件は訊かないがこれからお前が何をしたいのか聞いておこうとな」
「そう言う穆成は?」
「家族の為に臨時の《ギルド連合》職員に。幸い俺には《魔力》があるしな」
「俺は少し待つ。7/31。あそこで愛美と話して決める」
「それは自分の手で愛美を殺すとしてもか?」
「ああ。だからこそ俺は少し整理する」
「俺が言うのもあれだが悔いのない選択をしろ。俺は家族の為に動く」
穆成はそう言い残した。彼ならに悩んだ結果の選択だ。俺が呼び止める事しない。それに彼は大丈夫だ。
「よう?久しぶりだな」
そんな俺の前に突然現れたのは悪魔のような尻尾を生やした少年だった。あの時以来から一生会いたくない存在だが、こう言う時には絶対現れると確信していた。
「契約を反故にする気はないな?」
「それはお前さんが1番知ってるだろ?悪魔は契約は守ると」
「お前はこの事態を知っていたのか?奴らの正体を知っているのか?」
「そうだな。知ってると言ったら?」
「話してくれるのか?」
「いやー、俺が?それは別の奴だろう。そいつは今はどこぞの遺跡に封印されているがな」
「ではどうすれば教えてくれる?」
「ほー?あんな結末を迎えたのに俺と取引か?また大事なものを失うぞ?例えばさっきの青年」
「それは契約に反するよな」
「悪魔を舐めるなよ?制約の穴はいくらでもある。それを上手く利用しなければ俺よりも恐ろしい悪魔に喰い殺されるだけだぜ?」
「ならば……」
その時、俺の意識は途切れてしまった。
「あーあ。せっかくのチャンスだったのに」
「《強欲の悪魔》。以前息子を誑かすなら容赦しない。そう言ったよな?」
「そうだったかな?」
「我々と力を貸すという契約の元、息子の中にいる筈だが?」
「そうだな。だがそろそろ耐えるのも限界でな」
「今まで数百年は封印されていたのにか?」
「あーあー。わかりましたよ。だがお前が来たという事は話が早いな。俺から話を聞き出しにきたんだな?」
「ああ。お前が言ったあの時の言葉。それを知りに来た」
「いいだろう」
こそまで読んでいただきありがとうございます。
次回は7/25です。
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