ハンぎょボールを紹介します
いでっち51号 様主催企画「スポ魂なろうフェス」への投稿作品です。
え、“スポ魂”とは、ちょっと趣が違う……。
でも、世の中には、こんな面白いスポーツもあるんです!
突然ですが、ゆるスポーツって知ってますか?
ゆるキャラがするスポーツ、ではありませんよ。
ゆるキャラは、“ゆる”と付いていますが、あれはかなり過酷なんです。
ゆるスポーツの方は、本当に、“ゆる”なんです。
世界ゆるスポーツ協会のホームページによると、『年齢・性別・運動神経に関わらず、だれもが楽しめる』『勝ったらうれしい、負けても楽しい』『足が遅くてもいい。背が低くてもいい。障がいがあっても大丈夫』と書かれています。
うん、これなら、毎年、運動会が雨で中止になるよう、密かに期待していた誰かさんでも、大丈夫、かもしれない。
ゆるスポーツに認定されたスポーツの中に、ハンぎょボール、という競技があります。
それは、富山県氷見市で誕生しました。
氷見市は、ぶりの街なんです。「ひみ寒ぶり」はブランド魚なんです。美味しいです。
ん、何の話をしていたんでしたっけ? あ、ハンぎょボール、でした。
ハンぎょボール、は半魚人のボール、ではありません。
「ぶり」を使ったハンドボールです。
ハンぎょボール、では、フィールドプレイヤーが脇に「ぶり」を挟んでプレーします。ゴールキーパーは両脇に「ブイ」を挟みます。
「ぶり」といっても、本物の魚を使うわけにはいかないので、ぬいぐるみです。結構、カワイイです。
「ブイ」は、やっぱりぬいぐるみです。「ブイ」そのままの形です。
ボールを投げる際には、「ぶり」を挟んだ側の手、つまり右脇に「ぶり」を挟んでいる場合は右手で、行います。
「ぶり」を挟んでいない方の手で投げたら、反則です。
ゴールが決まると、脇に挟まれた「ぶり」が「出世」します。
「出世」すると、脇に挟む「ぶり」のサイズが大きくなります。得点も加算されます。
チームメイトが「出世」したら、チーム全員で「出世コール」を行います。これも、ルールです。
そうです。ぶりは出世魚なんです。
だから、脇に挟む「ぶり」(のぬいぐるみ)も「出世」するのです。
最初の「ぶり」はコズクラ。コズクラは地域によっては、ワカシとかツバスと呼ばれます。
この競技では、コズクラです。サイズは30センチメートルで、得点は1ポイント。
「出世」すると、フクラギになります。フクラギは地域によっては、イナダやハマチと呼ばれます。
この競技では、フクラギです。サイズは55センチメートル。得点は4ポイント。
さらに「出世」すると、ガンドになります。ガンドも地域によっては、ワラサやメジロと呼ばれます。
それでもこの競技では、ガンドです。サイズは75センチメートルです。かなり挟みにくいサイズです。得点は6ポイント。
さらにさらに「出世」すると、最終形態、ブリになります。
サイズ100センチメートル。でっかいです。脇に挟むのが大変です。得点は7ポイント。
そして、残念なお知らせがあります。
最終形態であるブリを挟んだプレーヤーは、ゴールしても加点されません!
最終形態であるブリは、チームメイトのサポートにまわることになります。
フィールドプレーヤーは、とにかく、脇の「ぶり」をしっかりと挟んでおかねばなりません。
「ぶり」を落っことしてしまうと、「スレ」という反則になります。
ちなみに「スレ」は漁師言葉で傷物の意味だそうです。
先にも書いていますが、「ぶり」を挟んでいない方の手で投げたら、反則です。
この場合の反則は、「だらぶつ」と呼ばれます。
「だらぶつ」は氷見弁で“ばかもの”のことです。ひどい言われようです。
しかも、審判宣告後、相手チームは全員で「だらぶつ!」とコールすると、ルールに定められています。ちょっと、ひどいです。
守備、ドリブル、キャッチは逆の手でも可です。
守備側、攻撃側が故意にボディコンタクトをしたり、叩いたりは、当然反則です。
「おがける」と呼ばれます。
ボールを持って3歩以上歩くのも駄目です。ハンドボール的に言うとオーバーステップです。
しかし、3歩以上で反則です(ハンドボールは4歩以上が反則)。
ハンぎょボール、ではこの反則、「しょわしない」と呼ばれます。せわしないの方言だそうです。
ボールを持って3秒以上止まるのも駄目です。オーバータイムです。
「はよせーま」と呼ばれます。
審判に悪質なキックボールと見做されると、「けっとばす」という反則を取られます。
フィールドプレーヤーが、ゴールエリアのラインを越えて踏み込むのも反則です。
「おーど」と呼ばれる反則です。大雑把という意味だそうです。
反則を犯したプレーヤーは、「冷蔵庫」へ送られます。退場です。
「冷蔵庫」に送られたプレーヤーは、相手チームが得点するまで戻れません。
ゴールキーパーにも反則があります。
脇に挟んだ「ブイ」を落とすと反則です。
この場合は「うしなげた」と呼ばれます。“牛投げた”ではありません。“失なげた”です。なくしたという意味です。
相手チームに「カブスロー」と呼ばれるフリースローの権利が与えられます。キーパーは「冷蔵庫」には送られません。
試合終了後、すべてのプレーヤーの「ぶり」を集めて集計します。
その行為を「競りにかける」と呼びます。
審判(競り人、競りの帽子を被っている)は、競り棒と呼ばれる棒を持ちます。
なんだか、楽しそうです。
興味のある方は、https://yurusports.com/sports/gotouchi/hangyoballをご覧ください。
それでは、出漁!(試合開始の際の、審判のコール)