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7.ある日森の中、ヒャッハーな人達に出会いました

セスに見送られ街を出て―

私は迷わず街道を逸れ、マイナスイオンたっぷりで気持ち良さげな森へと分け入ってきました。

セスに貰った地図によれば、次の街に向かうにはこの森を突っ切っていけば近道のようです。



森に入って少しも経たない時でした。

「坊主、金目の物を全て置いて行きな。いや、綺麗な顔してるからお前ごと売り飛ばす方が金になるか?」

さっそく現れた、『世紀末ヒャッハー☆』みたいな人に絡まれました。

この人達がセスが言っていた『山賊まがいの輩』でしょうか?


乙女ゲームの世界でもいるんなんですね、こんな昔の少年バトル漫画に出てくる『ザ・噛ませ犬!!』みたいな人達。

あんなに怪し気だったセスですら親切なオカンだったから、この世界には親切な人しかいないのかと思ってました。



どうしたものかなーと思っていたら、問答無用でヒャッハーさん達が剣を向けてきたので、慌ててこちらも剣を取り出します。

剣を持てば、ゲームのオート操作のような感じで簡単に打ち合う事が出来ました。


そのまま剣で倒す事も簡単そうでしたが、人を切るのは怖すぎるので全員まとめて先日の騎士さんの如く、風魔法でぶっ飛んでいってもらうことにします。

キラーン☆



ヒャッハーさん達が青空の彼方へ去って行った後、気を取り直して更に森を進めば、小さな洞窟がありました。

その入り口近くには人が焚火をしていた形跡が見えます。

恐らくさっきのヒャッハーな人達でしょうね。



洞窟の少し奥を見ると、何やら大きな鳥かごのようなものが見えたので近寄ってみることにしました。


傍に寄って見れば、それは鉄の檻でした。

檻の中には真っ赤な生き物が羽で顔を覆うように蹲っています。


カナリアでしょうか?

元気が無いように見えて気にかかります。


何か餌になるものがないかポケットを探ると、例の黄色いダチョウを慣らす時に使ったフードが出てきました。

更にポケットを探ると、簡単な鍵ならどんな形状のものでも開けられる『コソ泥のカギ』が出てきたので、それを使って檻を開けました。



「ご飯だよー」

そう言って、手の上に乗せたフードを差し出すと、カナリアだと思っていたそれが、羽を広げ、懸命に威嚇してきます。


良く見ると、それは真っ赤な飛竜の赤ちゃんでした!


乙女ゲームの世界だからと会うのは諦めていましたが、なんとこの世界、ドラゴンがいたようです!!

もっと大きい飛竜にも会えるでしょうか?

いつか大きな飛竜に乗って、ゲームさながら大空を飛びまわってみたいものです!!



喜びのあまり思わず手を近づけすぎてしまいました。

しまったと思った瞬間、怒った飛竜にがぶりと手を噛まれます。


鋭い牙が見えました。

本来なら大怪我です。


で・も☆

ゲームの中、ドラゴンを何体もソロで倒してきた私にとって、このくらい何とも無いようです。


実際、血すら出ておらず痛みもほぼ感じません。

寝てたら気づかないレベルですね。



「ほら、怖くない」

青い衣をまとった例の少女の真似をしてニコリと飛竜に微笑みかけると、飛竜が戸惑うように口を開けました。

キツネかつリスっぽい動物のように、いたわるように傷口を舐めてくれるのかなと思った次の瞬間です。


がぶぅぅう!


……再度思いっきり噛みつかれました。


うん、今度のはちょっと痛かったです。

勿論、主に心の方がですが(´Д⊂ヽ



その後どうやっても飛竜は懐いてくれそうになかったので、仕方なく檻のカギを再びかけて次の街まで持っていくことにしました。


ヒャッハーな悪い人達に捕まった可哀そうな赤ちゃん竜のように見えますが、周囲を荒らしまわっていてようやく捕まえて閉じ込めてあった可能性もこの凶暴さ故、捨てきれません。


次の街で飛竜について詳しそうな人に話を聞いてから、大丈夫そうだったら逃がしてあげることにしましょう。



ポケットに入れて持ち運べれば楽なのですが、ポケットの中で生き物が生きられるのかは謎です。

うっかり殺してしまったら大変なので飛竜をポケットに仕舞うのはやめておくことにしました。


檻が大きくて運ぶのが大変だったので、何か台車のようなものが無いかポケットを探します。

しかし残念ながらそんな都合のいいものは入っていませんでした。

まあ、RPGに台車って必要ないですもんね……。

コミケか。


仕方なく両手で檻をもってえっちらおっちら歩いて進むことにしました。

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