ショートショート 後悔(ベリルside)
国を一つ滅ぼし無関係な人々を巻き込んだことも、その咎で久遠の責め苦を受けている事も後悔はしていない。
でもたった一つだけ、今なお後悔し続けている事がある。
『絶対!絶対私がいつか貴方をそこから助けますから!!』
そう叫ぶガーネットの思いを受け止めてやらなかったことだ。
そんな事は出来ないと分かっていた。
だから彼女には幸せになって欲しいと
『私の事は忘れろ』
そう言って突き放した。
でもそれはただの建前で、本当は自分が僅かな希望に縋って更なる絶望を味わいたくなくて、最後の最後でわが身可愛さに彼女の心を拒絶したのだ。
どうしてたった一言
『待っている』
そう言ってやらなかったのか。
あの時の彼女の辛そうな顔が、今でも目に焼き付いてしまって離れない。
だからもし、やり直せるのならば
「待っている」
そう言ってやりたいと、ずっとずっと思っていた。
気が触れてしまうくらい長い時間が過ぎた後―
彼女の欠片を持つ者が現れた。
「絶対……絶対助けに戻って来ますから!!」
欠片となってなお、彼女は、別れ際にまたそう言った。
『もう十分救われたよ』
そう言ってしまいたかった。
実際、彼女は約束どおりこうして戻って来て、気が触れてしまいそうだった私の心を既に救ってくれていたのだ。
でも……
きっとそう言うのは違うのだろう?
今度こそ間違えない。
「あぁ。気長に待っている」
そう言って精一杯笑って見せれば……
やっぱり彼女も酷く辛そうな顔をしてハラハラと綺麗な涙を零した。
女心は難しいな。
「どうか、彼女達が早く私の事を忘れて幸せに生きられますよう……」
遥か昔に辞めた筈の祈りを思わず口にしてしまい自らの愚かさを嗤えば、再び意識は暗い暗い深淵に溶けた。
最期まで読んでくださり本当にありがとうございました。
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第二部も書いていきたいなと思っていますので、大変お手数ですが読み終わった方にもブックマーク入れておいていただけると本当にありがたいです。
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