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【第一部完】断罪されたりもしたけれど、私は元気です! ー深淵の魔王様とミルクティー色の髪の冒険者ー  作者: tea


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16/21

16.専門職あるあるですか?

「確か飛竜を供物に捧げれば完璧だったって、赤毛のヒャッハーさんが言っていました!」

「ヒャッハーさん??」


ベリル様にまた変な物を見るような目で見られました。

それを説明すると話がそれるので無視します。


どうせなら飛竜の方に喰いついて欲しかったです。



めげずに話を戻します。


「贄に飛竜を捧げれば、ベリル様、完全復活出来るみたいなことを聞いたように思います!」

胸を張ってそう言えば、ベリル様が胡散臭そうに目を細められました。

「あれ? ……違うんですか?」



ベリル様は再び指を鳴らすと、今度は地面だけ魔方陣に戻されました。


流石は魔王様!

そんな事も出来ちゃうんですね。

ベリル様自身はアメーバーの姿に戻られないので、意思疎通がしやすくて大変助かります。



私がワクワクしているのを煩そうに無視して、ベリル様が、魔方陣の解読を始められました。


「何だこの回りくどい術式は」

とか

「これは……あのダメ教師の手癖だな。改めて見ても酷いな」

とか

「ここの術式が間違っている」

とか

「こんなんで発動するか!」

とか、なんかブツブツおっしゃっています。



なんでしょう?

私には全く分かりませんが、独り言の内容が優秀なプログラマーの先輩そっくりです。

なんなら画面に向かってしゃべる先輩の姿と、地面に向かって一人しゃべるベリル様の姿がダブって見える気さえします。



……そう言えばここはプログラムされた乙女ゲームの世界でしたね。

魔術の術式とプログラムが似てるのはある意味当然なのかもしれません。


まぁ、私にはどちらにせよチンプンカンプンですが。



「それで、飛竜何匹くらいいります?」


ベリル様は、文句を言いつつ何やら楽し気にずっと魔方陣を読んでいらっしゃいましたが、私は早々に飽きてしまったので、雑に質問します。


いいんです、こういう輩にはこれくらい雑に言わないと、テンション上がったままそもそも論から語り始めるのでめんどくさいのです。



「そんなもの組み込んでも発動なんてしないぞ。飛竜を組み込もうなんて奴は三流通り越して素人だな」

復活出来ないというのに、ベリル様、趣味でパズルを解いている人のようにとても楽しそうです。



「そもそも、お前、自力では動けないのにどうやって飛竜を捕まえるつもりだったんだ?」

ベリル様に逆に聞き返されて、そうだったと言葉に詰まります。


ずっと椅子に座ってお茶してたから気になりませんでしたが、私、魔方陣発動してから一歩も動けていません。



「ベリル様の力で……何とかなりませんか?」

ダメ元で相談してみましたが、

「私の力では無理だと言っただろう」

そう素気無く返されてしまいました。


仲良くなった今なら何とかなるんじゃないかなーと少し期待していたのですが、完全に当てが外れてがっかりします。



「私、もしかしてもう一生ここから動けないのでしょうか?」

涙目でそう言えば、少し可哀そうに思ってくださったのかベリル様が

「ここから出る方法が無いとは言っていない」

そんな事をおっしゃいます。



「どうするんです?!」

パッとそれに食いついた私に、またベリル様は意地悪そうにニヤリと笑って言いました。

「それは教えない」


「何でですか? つまらない意地悪しないで早く教えてください!!」

全く。

人が心配しているというのに、人の気も知らないで!


そう思った時でした。

「もう少し、ここに居てくれてもいいだろう。……お前は本当につれないな」

ベリル様がそう言って少し寂しそうな目をして小さく笑われました。



……ベリル様、長い長い刻の中をずっとここで一人で苦しんでいらしたのですものね……。


相手の気持ちが分かっていないのは、寧ろ私の方でしたか。

反省です。


まぁ、私の方は急ぐ旅でなし、ベリル様がそう望まれるならもう少しここに居てもいいでしょうか。


私がそう思ったのが伝わったのか、ベリル様がそっと優しい目をされました。


言葉にはされませんでしたが、

『ありがとう』

そう思われているのが伝わってきます。





さて、そんな話をベリル様としてから、またどのくらいの時間が経ったのでしょうか。


私は相変わらず自力では動けませんが、ベリル様が触れられないながらも何かと世話を焼いて下さるので不自由はしていませんでした。


ベリル様が話してくださるガーネットとの思い出話は、せつないながらも素敵でしたし、話に飽きればベリル様が魔法で見ている景色を好きな場所、好きな時刻に変えてくださいます。



ベリル様さえ辛くなければ、ずっとここでこうして二人で引き籠っていられたらいいのにとすら思い始めた時でした。


何故か突然、私の足が動きました。


久しぶりの感覚に戸惑いと感動を覚えます。

動けたことを伝えようとベリル様を探しましたが、どこにもそのお姿が見えませんでした。



最近になって、ベリル様が私の前にいらっしゃらない時間が徐々に増えてきました。


もしかしたらベリル様、この仮初の世界を維持するのに力を消費しすぎて、生前の姿を保つのが辛くなりどこかで眠っていらっしゃるのかもしれません。



そうだとしたら……

やはりのんびりヒッキーしている場合ではありませんでしたね。


別段当てがあるわけではないので、本来でしたらどうしたら良いかベリル様にまず相談したいところですが……

いつまた何がきっかけで動けなくなるか分からない今、とりあえず魔方陣から離れる事だけでもやっておきたいと思います。



確かベリル様が、床だけ魔方陣に戻された時には、あの庭の終わりの白い小さな門が、魔方陣の最端と同じ場所に位置していました。

という事は、とりあえずあの門を越えれば魔方陣の外に出られるハズ。


私は大きく息を吸い込んだ後、白い小さな門に向かって全力で駆け出しました。

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