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ヒーローモノのやられ役

作者: 僕

「おーっほっほっほ!この奥多摩の平和も今日までよ!我らチョー・ワ・ルーイが今日から仕切ってあげましてよ!」


うららかな山あい。地元の人やキャンパーが行きかう平和な奥多摩駅周辺に戦慄が走る・・・。

キャー・・・ワー・・・

悲鳴はまばら。一日の乗降者数が866人(2019年平均)だから仕方ないね。


「待てーい!」


と!その時、奥多摩駅の屋根の上に人影が!


「なっ!また邪魔をするつもりだというのね!こんなに交通の便が悪いところを選んだと言うのに、ずいぶんと早い到着ね!歯車仮面!」


「たとえ社畜と呼ばれようとも・・・社会の歯車として!社会を動かしているプライドを持って歯車を演じている社会人の味方!歯車仮面ただいま見参!社会の平和と秩序は私が守る!」


良くありがちなポーズを決めた、顔面歯車の男(?)だ!


「ふんっ!今日も邪魔をしてくれようと言うのね・・・。いいでしょう!本日の怪人!混沌の化身!ジ・ユウシ・ュギ!」


シューギー!


「そんななんて発音すればいいかもわからない怪人に負けるわけにはいかない!行くぞ!とうっ!」


・・・・・・・・・


シュー・・・ギー・・・


「そんな!ジ・ユウシ・ュギが敵わないなんて・・・。なんて強さなの・・・歯車仮面・・・」


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。社会の平和と秩序は、そんな怪人程度に負けられないのさ・・・」


だが!歯車仮面もダメージを受けている!諸事情により描写はできないが!なかなかの接戦だったのだ!描写はできないが!


「ふっ・・・。だが、お前もギリギリのようじゃないか歯車仮面・・・。この手は使いたくなかったが仕方ない。混沌パワー充填120%!ジ・ユウシ・ュギ!最終モード!歯車仮面をやっておしまい!」


シュゥゥゥゥ!ギィィィィィィ!


おおっと!ここで良くありがちな最終手段だ!なんなら、毎回披露しているような!

制限時間付きとか!実は少しずつ崩壊しているとか!フ〇ーザ様の100%フルパワーみたいなやつだ!


ドゴッ!


「グワー!くぅ・・・。なんてパワーだ・・・。このままでは・・・。」


「おーっほっほっほ!歯車仮面!今日が年貢の納め時なようね!観念しなさい!」


シュゥゥゥゥ!ギィィィィィィ!


地面に体を投げ出し、荒い息を吐く歯車仮面!


「くそっ!ならばこちらも使うしかないか・・・。」


そう言って、おもむろに懐()から銀と青に赤い闘牛が描かれた缶を取り出し!グーッとあおる!

激しい戦闘で動き回っていたのに、炭酸は大丈夫なのか!?懐の体温で温まっていないのか!?そもそも、タイツみたいなピッチりしたスーツの懐とは!?

疑問は尽きないが、歯車仮面は力を取り戻した!!


「うおぉぉぉ!翼を授かったぁぁ!」


「なにっ!?今ならまだ間に合う!早くやっておしまい!」


シュゥゥゥゥ!ギィィィィィィ!


「もう遅い!くらえ!エナジーバスター!」


どこからか取り出した、バズーカにさっきと同じ意匠のより大きい缶をセットすると、透き通っている黄金色の光線が敵を貫く!授かったのは翼じゃなくてバズーカじゃないか!そして、ここでさりげない「もう遅い!」要素!


「うわぁぁぁぁ!」


爆発と共に、飛んでいくチョー・ワ・ルーイ。


「おぼえてろぉーーー。」


まるで、タイム〇カンだ。


・・・・・・・・・


・・・ピュー!ベチャ!

飛んできてそのまま地面に激突するが、間抜けな音を出すぐらいで、地面のシミにはならなかった!なぜならギャグ要素が強いから!


※注※ ここから本編 ※注※


「お疲れ様です。社長。濡れタオルです。」


「えぇ。ありがとう。」


「アクノン本社につきましたら、まず、シャワーと着替えをお願いします。あちらのヘリまでお願いします。」


「本日の予定ですが、13時から14時まで上期の社内総会があります。その後、15時からニコニコファイナンスとの打ち合わせになります。18時から霞が関で食事会ですので、ニコニコファイナンスとの打ち合わせは時間を意識しながらでお願いします。食事会の後は予定はございません。」


「今日も予定がいっぱいね。お昼も食べたいから、身支度はさっさと済ませちゃうわ。」


「かしこまりました。では、事前にコーディネートを行うように連絡しておきます。それと、お食事中でもいいので、総会の草案を再度ご確認下さい。」


「総会と打ち合わせは同じ服装でいいわね。食事会の前にもう一度着替えかしら。・・・はぁ。総会なんて大したこと話さないんだから、やんなくてもいいのに。やってもいいけど、ご飯食べながらとかでいいじゃないねぇ。」


「社長、それは、投資家の皆様に苦情を言われてしまいます。」


「上手くやってるんだから、大目に見て欲しいわね。」


・・・・・・・・・


「それでは総会を始めさせていただきます。初めに、社長からひと言と、上期の売上高、下期の売り上げ目標を発表いたします。」


「皆様。上期の営業お疲れ様です。皆様の働きにより、上期の売り上げ目標を達成することができました。ありがとうございます。ですが、売り上げ目標の約120%の達成は働きすぎです。超過した分に関しては、各々の業績に応じて、ボーナスに反映させていただきますが、基本的には売り上げ目標を100%達成できたら、遊んでいて下さい。会社が利益を上げ、長期的に存続しかつ、社員の皆様が日々を健康に過ごすためのバランスが売り上げ目標になりますので、超過したということは、どこかしらに無理が生じている可能性があります。現に、残業時間が全体で5時間ほど、増えてしまっております。このまま見過ごしていれば、皆様の健康を損ない、会社が立ち行かなくなってしまう可能性があります。そもそも、上期だけでも二度上方修正を行っているのに、それも超えるってどういうこ「社長。そこまでにして、売上高と、売り上げ目標の発表をお願いします。」


「・・・失礼しました。それでは、上期の売上高から。


・・・・・・・・・


「社長。それでは、ニコニコファイナンスまでの移動をお願いします。」


「そうね。行きましょうか。それにしても、社員のみんなにきちんと見返りを出せているかしら。」


「皆さん喜んで働いているようですよ。基本給、資格手当、業績給、福利厚生などなど充実してますし、社内アンケートでも、個人面談でも、SNSでも、転職サイトでも情報収集を行っておりますが、満足度は高いようです。ですので、業務に関係のない就学手当や、転職支援などまで必要ないのでは?」


「馬鹿ね。業務に関係ない知識なんてないのよ。それに、うちの会社以外でやりたいことが見つかったら、背中を押してあげなきゃ。うちの経営理念に反するわ。」


「『自由に自己実現できる社会に向けて』ですよね。それは、わかっておりますが、年々社員の満足度が上がっており、転職希望者も数えすほどです。そもそも、うちの会社でできないことが、他の会社でできるのでしょうか?」


「そういうおごりが危ないのよ。」


・・・・・・・・・


「ふー。議員の皆さんはいつの時代も変わらないわね。保守的だわ。」


「まぁ、歯車仮面を演出している側ですからね。突拍子もないことはできませんよ。国民もついていけませんし。」


「もっと若い世代に希望を持たせるようにしてもいいのにね。」


「誰でも将来は高齢者なので、結局は高齢者に向けての施策になってしまいますよね。それに、働いている世代への支援を作ったところで、仕事の合間を縫って、その申請をできる人が、何割いるか・・・。」


「手続きが無駄に煩雑なのは問題よね。申請に必要な書類をそろえるのに必要な書類を・・・ってなりがち。でも、いいねボタンを押したら申請が通るようにしたら、セキリュティーが問題になるし・・・。難しいわよね。」


「文章で書くんじゃなくて、フローチャートでまとめたら、多少はましなんですけどね。」


「そう言えば、喋り方はいいのかしら?」


「今はプライベートなので、社長と秘書ではなく、チョー・ワ・ルーイの女幹部と副官ですから。人間の社員に示しがつかないとか考えなくていいので。」


「それでも、口調はそのままなのね。」


「副官として、こういう口調になるように調整されているので、これ以上は砕けた口調にはなりません。」


「次の予定は何だっけ?」


「後ほど、研究室の記録を見てみますが、たしか混沌の化身の次は反逆ロボット・・・名前はゲコックジョーウだったかと思います。」


「まったく。組織の資金調達用に調整されたはずなのに、なんで怪人やロボットの開発から歯車仮面の相手やら、その大本との打ち合わせしなきゃいけないのかしら。もー。休む暇もないわー。ブラックよ!ブラック!自分が作った会社はホワイトなのに!」


「会社資金を基礎研究費として投資しているという名目のほうが隠れ蓑にしやすいですし、会社の資材と一緒に研究資材を納品したほうが、お上も言い訳が立ちやすいので。それに、怪人としてイルカなどの半分ずつ休む能力とか、超音波による超高速の交信を行う能力を付けられた私たちだから、全部やらされちゃうのは仕方ないですよ。諦めましょう。」


「わかってるわよ!大本と打ち合わせした人が現場を見てたほうがスムーズに回るだとか、私たちしかこの役割をこなせないだとか!でも、そんなこと言ったら、いつまでも組織の改善はできないからね!いつか、この業務を細分化して、仕事を振りなおして、属人化している状況を打破してやる!」


「それには、機密を守れるセキリュティーの開発もしなきゃいけませんね。関わる人数が少なければ少ないほど、機密は守れるものですから。と言うか、社長として本気を出したら、あっさりと世界征服できそうですが。」


「そんなの、自爆装置を作動させられるだけじゃない。それに、私は首領のガラじゃないわ。」


「社長をやってて、何を言っているのか・・・」


「私に仕切れるのは会社までよ。独裁者とかバランス調整がめんどくさすぎる。『外』があるからみんなで走れるのよ。私が『外』にはなれないわ。」


「ま、それもそうですね。さぁ、次のニチアサまで、また働きましょう。」

外の環境を作る人と、その環境のなかで組織を作る人と、その組織で働く人。それぞれ適性が違います。

この話しで言うと、

外の環境を作る人=首領、政治家の皆様

組織を作る人=女社長、秘書、歯車仮面(個人事業主)

組織で働く人=会社の皆様

です。


ちなみに、外の環境=ルールではないです。ルールは世論が作ります。

そのルールに沿って、大多数が文句を言わないように調整する=外の環境を作る。

その外の環境を上手く乗りこなす=組織を作る

その組織を正しく運営する=組織で働く

です。


基本的に自由度

環境作り>組織作り>働く

ですが、責任の大きさも

環境作り>組織作り>働く

です。


でも、人数の多さで言うと逆転して

環境作り<組織作り<働く

になるので、実は働く人 ニアリーイコール 世論。

環境を作る人は世論(働く人)に弱く

世論(働く人)は組織を作る人に弱く

組織を作る人は環境を作る人に弱い

という三すくみが成立しています。


なので、どこに属していても誰の下ってわけじゃないんですよー。

気にしないで、自分が一番働きやすいポジションを探しましょう。


ちな、私は歯車です。

まだ、責任が大きい仕事はできません。ストレスで胃に穴が開きます。

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