戻らない身体
ピギーは食べたり寝たりとしながらウォーレンのラボラトリーでまったり過ごしていた。そして、ウォーレンが動物実験で元に戻ったという投与から18時間というタイムリミットを迎えた。「おかしいな。猿やオラウータンでは大体これくらいの時間でスカルボーンの効力は切れたんだけどな。人間は身体が大きいから50ccは動物よりも多く投与したんだけど…ピギー、もうちょっと様子を見ないと何とも言えないよ。予定通り後6時間いてくれるね」「オッケー」音楽雑誌を読みながら答えるピギー。そして、24時間が経過した。右手でピストルの形を作りそれを顎の下に当てて思案するウォーレン。「おかしいな。もう元に戻ってもおかしくないんだが…済まない、ピギー。もう5時間だけ様子を見させてもらってもいいかい?」「オッケー、それよりもドク、このパイオツ見てみろよ。すっげー堪んねえな」プレイボーイのモデルのヌード写真をウォーレンに見せつけるピギー。「僕には刺激が強すぎるから勘弁してくれないかい、ピギー」頬を赤らめるウォーレン。そして、5時間が経過した。「済まない、ピギー。僕の見通しが甘かった。何て謝っていいんだか…」「おいおい、ドク、気にすんなって。往生際が肝心って言っただろ。ほら、俺スリムになったみたいだろ。骨と皮ってよりもよ、骨と骨ってみたいな。つー事で俺帰るからよ。ドク、マジ気にすんなって」「ピギー、何か身体に異変があったら直ぐに連絡してくれるね」「オッケー、ドク。そんじゃ、またな」ピギーは着て来たバーニーズニューヨークの特注のスーツを身に纏い家路に着いた。道行く人々は口をあんぐり開けて呆気に取られていた。「うえーん、ママ、あのおじさん怖いよー」泣きじゃくる子供。ピギーのその様相はスタイリッシュなバーニーズニューヨークのスーツに身を包んだ死神のようであった。