親友の発明
ピギーには、幼馴染みして親友のウォーレン パターソンと言う科学者がいた。ウォーレンはハイスクールの頃から『バック トゥ ザ フューチャー』のクリストファー ロイドみたいな風貌をしていたのでドクと言う愛称で親しまれていた。ウォーレンはアインシュタイン級のIQ170程度を保有しておりNASAなどの仕事にも従事していた。もちろん、ウォーレンの愛犬の名はアインシュタインだった。そんなウォーレンから携帯に留守電が入っていた。ピギーは指が極太ソーセージみたいだったのでスマートフォンの操作もAをタッチしているつもりでもBだったりとイライラする事が多かったのでガラパゴス携帯を未だに使用していた。クラブの仕事が2時に終わり住んでいるマンハッタンのマンションに帰る前に行き付けのバー、ハードデイズでバーボンのダブルをロックで一杯呷ってから帰路に着いた。部屋の灯りを点けて留守電をチェックした。1つはマネージャーのP.G.ハンクからであった。「ピギー、明日急遽ラジオの仕事の前に雑誌のインタビューが入ったのでラジオ局の入りの時間を19時から17時30分にしてくれ。インタビューは局の待合室を使わせてもらってやる手筈だ。それじゃ頼んだぞ」続いてウォーレンからの留守電。「やあ、ピギー、僕だよ、ウォーレンだ」この時点でピギーはプッと吹き出した。この時勢、携帯の着信に掛かってきた相手の名が表示されるのにわざわざ名を名乗るウォーレンの生真面目さに。そして、こう続いた。「元気にしてるかい?今、僕はケヴィン ベーコン主演の『インビジブル』って映画からインスピレーションを受けて独自に研究している事があるんだ。君がこの映画の事を知らないかも知れないから補足説明をさせてもらうとH.G.ウエルズの小説を原案としていて映画化にしている透明人間の話なんだけれども、僕はこの透明化に着目して皮膚や血管、筋肉や脂肪、それに毛髪とか眼球、爪を透明化して骨だけが透けて見えるという薬剤を開発したんだ。骨に含有しているカルシウムに注目して蛍光スプレーで描かれた落書きがライトを照射すると光って見えるっていうあの方程式を頂戴したって訳なんだけど。解りやすく言えば血管造影剤みたいなものかな。薬剤の名はスカルボーン。猿やオラウータンに投与して実験は成功したんだけどね。これを商品化出来たら医学部や整体師の学校での人体骨格模型を美術学部のデッサンのモデルのように本物の人間で教育出来て、しかも本物の人間だから身体を動かした時の骨の動きもリアルに解るっていうメリットまであるんだよ。後は人体実験で安全性を試さないといけないのだが何処かによい被験者がいてくれたらとおもうのだけどね。では、ピギー、また連絡するよ。あー後、薬物は精神衛生上あまり宜しくないので注意した方が君の為だと想うが、これもまた君の人生なので君の良識の範疇で判断してもらえればと真に願っているよ」ウォーレンからの着信は1時38分だった。現在の時刻は3時59分だった。まだ起きてっっかな?ピギーはウォーレんにリダイヤルした。3コールくらい鳴らしたらウォーレンが出た。「よお、ドク、元気にしてっか?留守録聞いたけど何かすっげーの開発したみてえだな」「ああ、そうなんだよ。凄い発明だよ。人体実験の被験者を探しているんだけど、なかなか見つからなくてね」「おいおい、こんな時には持つべきものは友じゃねえのかい。何かおもしろそうだしよ、人生は一回こっきり。俺が被験者になってやるよ」「えー、本当かい?猿とオラウータンでは成功しているけれども、人間てなるとどんな不可抗力が生ずるかは保証出来ないよ、ピギー」「あーあれだ。なったらなった時だ。人間、往生際が肝心だかんな。アインシュタインは元気にしてっか?」「ああ、彼なら元気だよ。ありがとう、ピギー。3日後に僕のラボラトリーに14時に来てくれないかい?」「オッケー、んじゃ3日後にな、ドク」そして、約束の3日後がやって来た。