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1 お嬢様、転生する①

 

「やっべえですわ、これ……」


 とりあえず、私の第一声はそれでした。


 いえ、それが声として実際に発されたのか、私の脳内だけで響いたのかそこは曖昧な感じでしたが、とにかく強く、目覚めて最初に思ったことがそれでした。


 目を覚ますとそこは見慣れない洞窟のような、洞穴のようなよく分からない場所。

 薄暗くて、ちょっと空気が淀んでいて、何だか辺りがやけに騒がしくて。


 ――思うように体が動かせません!


 身体が重い……というか、拘束されている? いえ、下から何か野太い手のようなものに支えられている。


 居心地が悪くて不快な感じです。

 あと、ちょっと今とても気分が悪いですわ、吐いてしまいそうなくらいに!


「うおお、ようやく生まれたか! 難産だったなあおい……!」


「ええ、でもこれ見て、あんた……あたしたちの娘よ……はあ、はあ……」


「なっ、これは……うそ、だろ…………おまえ……」


 ああ、周囲の声がだんだんと良く聞き取れるようになってきました。


 キイキイとうるさい動物の鳴き声のような……少なくとも聞きなれた日本語では絶対にありませんのですが、なぜか何を言ってるのかするりと理解できてしまう、そんな不思議な旋律を伴った言語的な何か。


 なにやら私を取り囲んで彼ら彼女らは騒ぎ立てているようです。


 老若男女……けっこうな人数がいそうですの。


 なんなら、だんだんとその人数が増えていってる気がしますわ。


「………………」


 というか、ここはどこですの? あなたたちはマジで誰ですの?


 なんだか身動きが取れないので、出来れば、もし私を拘束しているなら放してほしいんですけれど……ええと……聞いていますのこと?


「え、エリートじゃ!! 『ゴブリンエリート』じゃあ!」


「ゴブリンエリート!? この村ではもう長らく生まれていない、あの……!?」


「左様! ゴブリンエリートは通常のゴブリンとは一線を画すどこかしら特化した力を持って生まれる! わしの婆さんの婆さんの友達がそうじゃった! このおまんらの娘は…………」


 ……何者かの影が私の顔を覗き込んでる気配が強烈にしますわ。


 なんだかあまり良くない、一般的には不快な匂いがした気はするんですけれど、なぜか思ったより私は拒絶感を覚えません。


 なんでしょう、妙に慣れ親しんだ感じがするのです。


「――容姿が優れておりスタイルがいい! そして高い運動能力を持っておる強化型のゴブリンじゃ!」


「す、すごい…………やったなあお二人さん、あんたら村の誇りだよ!!」


「とはいっても、エルフどもの中では下の中、人間の中ではせいぜい真ん中くらいの見た目じゃがの……あと肌は普通に緑色だし。とほほ、それでも我々ゴブリンの中では絶世の美女よのう……」


「村長、今は素直に喜びましょうや……」


「そうだそうだ、水差すなし!!」


「すまんのう、ただのう…………」


 私の抗議を無視して頭上で繰り広げられていく会話。


 なるほど、どうやら私の声は彼らには届いていないようですわね。


 なんというか、それと……それ以前に、この方たちの会話がまったく呑み込めないというか、なにいってんですのこいつら、って感じなのですが、いったい何が起こっているんですの、本当に私の身に!


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