価値のある時間
今日の午前中はウェディングドレスの試着の日だった。
ドレスを着て、細かい所を直すらしい。
ベルラインと言う種類のドレスで中にパニエを着用し、スカートの部分が綺麗に拡がり、綺麗だった。
「とても素敵です。フィン様も早く見たいでしょうね。」
マリーさんがドレスの着用を手伝いながら言った。
新郎は結婚式より先にウェディングドレスを見てはいけないらしくこの間にフィンは陛下に用事を済ませて来る、と言って出ていった。
ベールも長くビックリした。
「フィン様は身分がお高いので、長くなりますわ。アルベルト様が結婚する時はもっと長いベールになります。」
アルベルト様の婚約者は隣国の方と聞いた。
婚約者の方はまだ14歳だから16歳になると結婚するらしい。
「フィンは喜んでくれるでしょうか?」
「当然です。フィン様の溺愛は皆が知っていますわ。」
どうやら、あの夜会での一件が噂になり、堅物のフィンから、一人の女性を大事にする方と噂になったらしく、ダンスのあとフィンと同じように抱き締める方が出てきたらしい。
一種の流行になったのだろうか。
試着も終わりフィンとお昼を食べる約束をしているので、部屋で待っているとフィンが帰ってきた。
「ただいま、エスカ。試着は終わったか?」
「はい、終わりました。おかえりなさい。」
「ドレスはどうだった?気にいったか?」
「はい、とても素敵なドレスでした。」
「それは結婚式が楽しみだ。」
フィンは優しく笑ってくれた。
「昼は外で食べないか?馬に乗って外に行こう。」
フィンはバスケットにランチを用意したらしく、フィンと二人で馬に乗った。
ルディは今日は休みだが、ギルとノーグはいつも通り護衛の為後ろからついてきた。
二人は私達に気を使ってか、ついてからも少し離れていた。
二人でゆっくりサンドウィッチを食べ、フィンが話し始めた。
「エスカ、カプリコーン村のあの家を買った。」
「えぇ!家を買ったのですか!?」
「そうだ。」
フィンはあっさり言った。
「陛下にもあの家に住む許可を今日貰ってきた。定期的に王都にも住まないといけないが、カプリコーン村にも住める。」
「…二重生活になりますね。」
でも、フィンとあの家に住めることが嬉しく思わず顔に出てしまった。
「他に欲しいものはないか?何でもしてやる。」
「もう充分です。…フィンがいればもう何も要りません。フィンは何かないですか?何かしたいです。」
「…では、膝枕をしてくれ。」
フィンは私の膝に寝転がり、腕で顔を隠していた。
「…エスカ、あの家にいったらまたポトフを作ってくれ。チキンソテーも旨かった。」
「はい、他にも色々作ります。」
「楽しみだ。」
綺麗な緑の中、風がサワサワと吹き、気持ちが良かった。
この時間が穏やかで、フィンといる。
とても価値のあるものに感じていた。




