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フィンの溺愛

エスペラから帰り一週間。


フィンの第2王位継承者の儀が行われ、私も聖女として祝福をした。


そして、今夜フィンの為の夜会が開かれる。

私は婚約者として出席する。

着替えの支度になり、私は躊躇していた。

並べられたこのドレスや宝石もきっと高いんだろう。

いや高いのはわかっていたが、ピンとこなかった。

でも、あの家より高いとルディに言われてなんだか身につけにくい。

やっぱり私は庶民育ちなのだ。

いや、庶民より下だったのだ。


「あの、エスカ様。そろそろ支度しませんとフィン様をお待たせしてしまいます。」


侍女は私が断ったので侍女はいないが、ドレスを着る時は支度の手伝いにいつも来てくれるマリーさんが言った。


「…もっと地味なものはないですか?」

「…地味…ですか?フィン様のお見立てですので。今夜はフィン様の為の夜会ですし、お綺麗にしませんと。」


ですよね。うぅ、なんだか気が引ける。


「大丈夫ですよ。エスカ様はお綺麗です。」


にこやかな笑顔でマリーさんは言った。


「宝石が高いと聞いてつけるのが怖くなりました。すみません…」

「フィン様は立派なものをエスカ様に揃えましたからね。私もこういう仕事じゃないと触ることもありませんわ。」


マリーさんは笑顔のまま話し、手際良く支度をしてくれた。


支度が終わるとマリーさんは、凄くお綺麗です。きっとフィン様は廊下でお待ちですわ。と言いドアを開けた。


ドアが開くと、マリーさんの言うとおりフィンが正装で立っていた。


「エスカ、凄く綺麗だ。」


フィンはすぐに抱き締め、褒めてくれた。

でも、使用人の方々が見てるのに、と恥ずかしくなった。


「フィン、皆が見てますよ。」

「噂を消す為に見せつけると決めただろう。今日は離さないからな。」

「…逃げたくなりました…」

「では、逃げられないようにしっかり捕まえておこう!」


うぅ、この調子なら絶対心臓が持たない!


フィンは素敵な笑顔でエスコートしてくれた。


夜会はやはりきらびやかで目が眩みそうだった。


陛下達が見ている前で、一番最初にダンスが始まった。


演奏が始まりフィンがエスコートし、ホールの真ん中に手を引かれ歩いた。


フィンのダンスは上手く私を上手にリードしてくれた。


きっと、見ている女性達はフィンに見とれているだろうと思うほどフィンは優雅で素敵だった。


もうすぐで私達のダンスが終わりフィンと手を握ったまま、皆に会釈する。

そう思った時、フィンは会釈の前に手を引き寄せ抱き寄せた。


ホールの真ん中です!?


頭の中が真っ白になった。

周りの、きゃあ、と言う声が聞こえないほどだった。


「エスカ、好きだよ。」


耳元で囁き、そのまま失神しそうだった。


フィンはそのまま私の肩を抱き寄せたまま会釈し、私も慌てて会釈した。


その後は、各々ダンスや歓談が始まりフィンの周りに人が集まり挨拶をした。


「フィン様エスカ様、素敵でしたわ。」

「ありがとうございます。」

「あのフィン様があのようなことをするなんて、娘どもは驚いていますよ。」


ハハッ、と笑い侯爵や伯爵の方々がにこやかに話しかけてきた。


「エスカだけ特別です。俺はエスカに一目惚れし、夢中なんです。」


フィンは抱き締めるように肩を寄せた。

私はゆでダコみたいに真っ赤になった。


「エスカ様は初々しいですな。」

「ええ、可愛くて結婚が待ち遠しいです。」


フィン、やり過ぎです!

こんな時どんな態度をしていいか全くわかりません!


「少しダンスで火照ったようですね。少し風に当たってきます。おいでエスカ。」


フィンが侯爵様達に挨拶をし、バルコニーに連れ出してくれた。


「フィン、限界です。心臓が爆発します。」


フィンはバルコニーのベンチに座り笑っていた。


「おいで、少し夜風に当たろう。」


フィンに言われて横に座るとフィンが抱き締めた。


「皆がいますよ!」

「誰もいない。俺達に気を使い今は誰もバルコニーに来ないよ。」


確かにバルコニーには誰もいない。

でも窓から見えるんじゃ…。


「しばらくこうしていよう。エスカを離したくないんだ。」

「…頑張ります…」


二人は、星空のバルコニーの元しばらく寄り添っていた。


フィンの溺愛が広く知れ渡り、全てではないが確実に噂は減っていった。



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