表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/78

共感するもの

朝のお祈りを済ませ、早めにソールの所に行った。

今朝はフィンが一緒に来てくれる。


朝早いせいかあまり人もおらず、フィンと手を繋ぎゆっくり歩いた。



「おはようございます、ソール。」

「おはよう、エスカ。」


ソールの牢につくと、昨日と同じように格子越しにステラヒールを唱えた。


「どうですか?」

「楽になってる。ありがとう、エスカ。」

「明日はこれないかも知れませんが大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。無理せずゆっくり癒してくれ。それに今からエスペラに行くんだろ。気をつけてな。」


ソールは私に優しくそういうと、フィンにも感謝を言った。


「フィン様、感謝してます。エスカのおかげで呪いが徐々に消えてます。」

「…。様は要らない。フィンでいい。お前が言うと皮肉に聞こえる。」


ソールは少し笑ったように見えた。


「エスカ、次に来てくれるのを待ってるよ。エスカ、フィン、お気をつけて。」


ソールが挨拶すると、フィンは、行こう、と手を握り立ち去った。





「フィンはソールが嫌いですか?」

「嫌い…ではないが、逆に何故エスカはソールを気にするんだ?」

「…似てると思いました。」

「似てる?エスカは可愛いがソールは可愛くないぞ。」

「そ、そういう事ではありません。」


何故急にさらっとそんな事を言うの!?


「じゃあ何だ?」

「孤児かどうかはわかりませんが、幼い頃から虐げられて、恐らく昔から魔術の才能があったのではないでしょうか。私も回復魔法が昔からあって、幼い頃は人と違うと気味悪がられたことがあります。私の場合は人に害をなすものではありませんでしたが。」


「共感するものがあるのか?」

「上手く言えませんが、なんとなく。」


力の性質が違うのはわかっているけど、フィンには上手く説明できない。


「エスカはソールに気はないのか?」

「気?何の気ですか?」


フィンは立ち止まってじっと私を見た。


「…ルディが、フィンが嫉妬すると言っていました。もしかして私を疑ってますか?」

「…エスカは疑ってないが…」

「ソールはルディと同じように友達になれると思っただけです。」

「ルディと同じか?」

「そんな感じです。」


フィンは少し横を向いて、耳が赤くなっていた。


「エスカ、少し目をつむってくれないか?」


目をつむる?見られたくないのかしら?


「わかりました。」


目をつむるとフィンが抱き締めてきたのがわかった。


「フィン!そ、外です!」

「気にしない。」


いやいや、少しずつ、出勤してる人達がいますよ!


「フィン?」

「エスカのことになると俺は嫉妬するようだ。すまない。」

「私に嫉妬するんですか?」

「…ちょっと違う。エスカに男が近づくのが嫌なんだ。」


そりゃそうだよね。私に嫉妬はおかしかった。

って、フィンも私と同じように思っていたということ?


「私もフィンにマリーベル様のように抱きつかれたら困ります。」

「エスカ以外に心は動かないよ。」

「私も同じです。」


その言葉にフィンはやっと離してくれた。


「ドレスが完成したらすぐに結婚式をあげよう。」

「私も早くしたいです。」


フィンの笑顔を見ながら二人で手を繋ぎ邸に帰った。


これからエスペラ国に出発だが、今この二人の時間を大事にしたいと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ