重くのしかかる気分
夜には、今日は皆で食べよう、とフィンがルディとノーグとギルを呼び食事にした。
食事の席でフィンは陛下との話を皆に伝えた。
「明日はエスペラ国に行くがヘクトル様も同行し、一緒に帰ることとなった。」
ルディはフィンの言葉にワインを飲みながら聞いていた。
「ヘクトル様は今回のことで責任を感じ王政を廃止するといわれ、エスペラはステラ王国の一部の領地になる。」
驚いた。何故ヘクトル様がそこまで責任を感じるのか。
「私が誘拐されたからですか?」
「誘拐はマリーベルの仕業で方はつくが、まだ離縁してなかったことと、ヘクトル様はマリーベルを止められなかったことに心を痛めているようで、ヘクトル様から陛下に申し出たらしい。陛下も止めたらしいが。」
「領地はどうなるんだ?」
ルディが真剣な顔で聞いた。
「ヘクトル様を領主にし、今まで通りになるだろう。エスペラが属国ではなく、ステラ王国の領地になるだけだ。」
皆、食事もせずただ黙って聞いていた。
「明日、ヘクトル様がエスペラの有力者に説明するらしいが俺も同席する。その間ルディ達はエスカを頼む。」
フィンは話が終わるとナイフとフォークをとり食事を始めた。
ルディ達もそれに合わせて食べ始めた。
私は不安になった。
私が誘拐されたせいで国が無くなる。
私には重くのしかかる気分になった。
部屋に帰ると、1日1回にしていたお祈りを夜もした。
今日はどうしても祈りたかった。
祈りが終わり振り向くと、フィンは優しい目で見つめていた。
「…フィン、私怖いです。」
「ヘクトル様が決めたことだ。伯父上も悪いようにはしないよ。」
「フィンは怖くないのですか?同席するということはエスペラの皆様にお伝えするのでは?」
「…エスペラから帰ると、陛下から第2王位継承を言い渡される。勿論アルベルトがいるから王にはならないが、伯父上の代理を頼まれることもあるかもしれない。言いたくない事でも言わないといけない時が出てくる。」
「辛くないですか?私はフィンの為に何かできますか?」
「側にいてくれ。エスカが側にいると乗り越えられる。」
フィンが、おいで、と手を差し出しその手を取ると力強く抱き締めてきた。
「自分を責めないでくれ。」
「…わかりました。」
今辛いのは私じゃない。
明日は、自分の役割をしよう。
エスペラ国に、豊穣と加護がありますように…。




