表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/78

重くのしかかる気分

夜には、今日は皆で食べよう、とフィンがルディとノーグとギルを呼び食事にした。


食事の席でフィンは陛下との話を皆に伝えた。


「明日はエスペラ国に行くがヘクトル様も同行し、一緒に帰ることとなった。」


ルディはフィンの言葉にワインを飲みながら聞いていた。


「ヘクトル様は今回のことで責任を感じ王政を廃止するといわれ、エスペラはステラ王国の一部の領地になる。」


驚いた。何故ヘクトル様がそこまで責任を感じるのか。


「私が誘拐されたからですか?」

「誘拐はマリーベルの仕業で方はつくが、まだ離縁してなかったことと、ヘクトル様はマリーベルを止められなかったことに心を痛めているようで、ヘクトル様から陛下に申し出たらしい。陛下も止めたらしいが。」


「領地はどうなるんだ?」


ルディが真剣な顔で聞いた。


「ヘクトル様を領主にし、今まで通りになるだろう。エスペラが属国ではなく、ステラ王国の領地になるだけだ。」


皆、食事もせずただ黙って聞いていた。


「明日、ヘクトル様がエスペラの有力者に説明するらしいが俺も同席する。その間ルディ達はエスカを頼む。」


フィンは話が終わるとナイフとフォークをとり食事を始めた。

ルディ達もそれに合わせて食べ始めた。


私は不安になった。

私が誘拐されたせいで国が無くなる。

私には重くのしかかる気分になった。


部屋に帰ると、1日1回にしていたお祈りを夜もした。

今日はどうしても祈りたかった。


祈りが終わり振り向くと、フィンは優しい目で見つめていた。


「…フィン、私怖いです。」

「ヘクトル様が決めたことだ。伯父上も悪いようにはしないよ。」

「フィンは怖くないのですか?同席するということはエスペラの皆様にお伝えするのでは?」

「…エスペラから帰ると、陛下から第2王位継承を言い渡される。勿論アルベルトがいるから王にはならないが、伯父上の代理を頼まれることもあるかもしれない。言いたくない事でも言わないといけない時が出てくる。」

「辛くないですか?私はフィンの為に何かできますか?」


「側にいてくれ。エスカが側にいると乗り越えられる。」


フィンが、おいで、と手を差し出しその手を取ると力強く抱き締めてきた。


「自分を責めないでくれ。」

「…わかりました。」


今辛いのは私じゃない。

明日は、自分の役割をしよう。


エスペラ国に、豊穣と加護がありますように…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ