回復魔法は無償です
「エスカ、お祈り終わったか?」
ずっと待っててくれたのね。
「はい、終わりました。」
「では、着替えて食事に行こうか。」
フィンが買ってくれたワンピースを着ていいのかしら?着ないとダメよね。私ったら汚いもの。
新しいワンピースなんて初めてだわ。
フィンを待たせたら悪いわね。
早く着替えないと。
「フィン、お待たせしました。」
「エスカ、よく似合っているよ。綺麗だ。」
さすが騎士様、お世辞がうまいわ。
フィンと私は夕暮れの中、村の食堂に向かっていった。
食堂につくとやっぱりフィンは私の椅子を引きエスコートした。
「エスカは何が食べたい?」
知らないメニューもあるわ。どうしましょう。あっ、これならわかるわ。
「ブイヤベースにします。」
「では頼もう。」
フィンはステーキなのね。お肉が好きなんだわ。
その時、血相を変えたおばさんがやって来た。
私達の隣の席の方に、「先生、息子がケガをしたんだ。助けて下さい!」と言っていた。
ケガなら私も役にたてるかも。
「あの、良ければ私もお力になりましょうか?回復魔法が使えます。」
「あなたは?」
その時フィンが立ち上がり、私の紹介をしてくれた。
「こちらは聖女候補の星の乙女、エスカ様です。俺は護衛騎士フィンです。」
エスカ様って、なんだか恥ずかしいけどそれどころではないわ。
「フィン、先に食べてて下さい。」
「いや、俺も行くよ。」
すぐに息子さんの所に行くと、まだ小さな子どもで階段から落ち、足が腫れていた。
「ヒール!」
癒しの魔法をかけるとみるみる腫れが引きすぐに治った。
「ありがとうございます!あのお代は?」
「要りませんよ。お体大事になさって下さい。」
「ではエスカ、行こうか。」
私がフィンと行こうとすると医者の方に呼び止められた。
邪魔するなとか言われるかしら?
でも私の思い込みとは違い、「いや助かりました。今日の分の薬草はもうなく、私では骨折は一瞬では治せませんから。ありがとうございます。」とお礼を言われてしまった。
「フィン、私、星の乙女の役割を果たせたかしら?」
「エスカは立派だ。見返りもなく人を助ける行いは尊いものだよ。」
「私、ここにきてよかったです。少しでも役に立ちました。」
「さぁ、今度こそ食事にしよう。」
教会ならできて当たり前だとフィンのように言ってくれる人はいなかったわ。