フィンは不機嫌
マリーベル様を地下牢に入れ、ルディが騎士団を呼びに行っている間、私達は部屋の一室で待った。
「ヘクトル様、今回の事はマリーベルの計画だとしても貴殿にも何らかの咎がありますよ。」
フィンは私の抱き寄せたまま座っており、その姿でヘクトル様にハッキリと言った。
「わかっております。」
ヘクトル様は、見かけと違い、弱々しく返事をした。
「フィン、ヘクトル様はマリーベル様と離縁するつもりでした。それでも何かありますか?」
「離縁?…夫婦の事に口を出すつもりはないが、するなら早い方がいいですよ。このままだと共倒れになる可能性がありますよ。」
フィンの言葉に少し一人にされては。と言ったが、マリーベル様の所に行く可能性を捨てられないからダメだとフィンが言った。
どうやら、ヘクトル様とマリーベル様を接触させないようだ。
「そっちの誘拐犯はなんだ?」
今度はフィンはソールに話かけた。
「フィン、ソールは私に呪いを消して欲しくて、マリーベル様に協力したみたいです。マリーベル様の味方ではないらしく、その地下牢から出してくれて、逃がそうとしてくれました。」
上手く言えないわ。呪い?呪い返しのあと?一言で言えないわ…。
「エスカに近づく為に協力したのか?」
「…そうなります。」
ソールはフィンに頭を下げた。
「マリーベルは利用しただけだが、誘拐の罰なら受けます。だが、この体の呪い返しは解いて欲しい。エスカも約束してくれました。」
「約束?エスカ本当か?」
「はい、全て消すのに何日かかかりそうなので。」
「…呪い返しなら自業自得じゃないのか?」
「俺の呪いではありません。」
「エスカの助けが必要なら全て話せ。」
フィンは、ため息をつきながらソールに言った。
「幼い頃、師匠となる魔術師に買われました。理由は呪い返しの身代わりです。師匠が仕事で呪いをかけた相手から呪い返しを俺が身代わりで受けていました。段々呪い返しが増え、苦痛に耐えましたが俺の体の呪い返しが受けたものが消える事はありませんでした。師匠に魔術も教わり身の危険を感じ、自分で身代わりを立ちきりました。そして、呪いを消せる相手を探していました。」
ソールはフィンに丁寧に話した。
「教会には頼まなかったのか?」
「王都の教会にいきましたが時間もかかり、その上星の乙女には消せませんでした。」
「エスカなら消せるのか?」
「文字通り消せます。実際先程、黒いものが俺の体から出ました。」
「フィン、呪いは苦しいものです。お助けしたいのですが。」
「だが、エスカを誘拐したんだ。」
「ソールは私を傷つける気はなかったと思います。」
フィンはムッとした顔になった。
「随分信頼しているんだな。」
「信頼ですか?…悪い人ではないと思いますが。」
「…もういい。騎士団が来るまでこの話は終わりだ。」
何故かフィンが怒っているように見えた。
ソールをみると、少し笑ってくれたが、フィンは益々不機嫌に見えた。
暫く私達四人は無言だったが、ルディが騎士団を連れて戻ってきた。
騎士団の馬の音に気付き、フィンは窓側にいき外を見た。
「随分早いな。あれは団長か?」
団長は陛下の護衛についてた筈だったけど…。と思っていると、ソールが小声で耳元に話かけてきた。
「エスカ、約束は守ってくれ。信じてるからな。」
「はい、守ります。」
フィンはソールに気付きすぐに寄ってきた。
「エスカに近付かないでもらおう。」
フィンはまだ不機嫌だった。
騎士団が思いの他早くついたのは、ノーグがフィン達と別れたあと、すぐに呼びに行っていたらしい。
その途中陛下のルートにかち合い、団長に報告し、陛下の護衛から数名聖女救出に当たったとあとで教えてもらった。
そしてルディと合流したらしい。




