駆け出したフィン
ギルは眠気と戦いながら、フィンの元へ走った。
眠気がくる度腕を斬りつけ、走っているがふらついていた。
フィンの姿を見て、ギルはガクンと膝をつき、倒れそうになった時、フィンやルディが、名前を呼びながら走りよってきた。
「ギル!?どうしたんだ!?」
「ギル!?エスカはどこだ!」
ギルは血だらけの手でフィンを掴み、まだ伝えるまでは眠れない!と必死で話した。
「すみません!…連れ去られまし…た。
マリーベル様が…」
そこで、ギルは意識が切れた。
「ギル!?」
倒れたギルを揺さぶっても全く起きない。
フィンはゾクッとした。
「ノーグ!ギルを頼む!」
ノーグはすぐにギルを受け取った。
フィンはギルに触れたところが濡れており、甘い変な匂いがした。
「何だこれは?…薬か?」
ルディもフィンの手を匂うと、おかしいと思った。
「…魔法薬かもしれん。」
「もし、これがエスカにも使われていたら…」
フィンは益々ゾクッとした。
エスカは眠ると全く起きない。
聖なる力が使えなければ、双神様も来ないかも知れない、と思った。
「ルディ!すぐに追うぞ!」
フィンとルディは一目散に馬に乗り、駆け出した。
「エスカ!無事でいてくれ!」
町を駆け、ヘクトルの国に向かう街道をフィンとルディは馬で駆けていた。




