隣国に出発
あれから、1ヶ月フィンとは毎日一緒にベッドに入るが少しずつ慣れたかな、と思うようになってきた。
それ以上の事は結婚まで待つと言ってくれた通り、フィンは色々我慢しているらしい。
結婚といえば、今日はソフィア様の結婚の為、隣国に出発する日だ。
ソフィア様の結婚のあとはソフィア様が隣国の人間になる為、フィンが第2王位継承者になる。
私達の結婚式はその後になるらしい。
私の護衛騎士も、フィンを筆頭にルディにノーグとギルの四人に決まっていた。
三人とも若く、フィンが言うには表に出ることもあるから容姿のいいものを団長が選んだらしい。
女性騎士はエレナ様達の事もあり、私が嫌な思いをしないように選ばなかったと聞いた。
ゴトゴトと隣国に向かう馬車の中でフィンと二人寄り添い合い座っていた。
「フィン、ソフィア様のウェディングドレス姿は美しいでしょうね。」
「俺はエスカのドレス姿が早くみたい。」
ルディが言うにはフィンの溺愛は止まらないらしい。
「エスカ、邸でほしいものはないか?エスカもずっと住むんだからそろそろ揃えたいのだが。」
正直あのフィンの大邸宅は凄すぎて何がほしいのかわからない。
「…あのフィン、邸の事なんですけど、私カプリコーンの村のあの家が好きなんです。」
「なら庭に家を作らせるか?」
「そ、そういう事ではなくてですね…」
家を作るって簡単に言われても…。
「…カプリコーンの村に住めませんか?勿論必要ならすぐに帰りますが。」
フィンは悩んでいるのか、うーんとなった。
「あの家がいいのか?」
「フィンと初めて会った場所ですし、とても大事なんです。」
我ながら我が儘を言ったかな、と不安になってしまった。
「俺もあの家は好きだ。陛下に頑張って伝えるよ。」
「お願いいたします。」
「エスカの為なら頑張ろう。」
フィンは優しく微笑み、馬車は隣国についていった。




