前向きなエスカ
聖女認定に国中がお祭り騒ぎだった。
しかも聖女の中でも星の聖女は優れた力の聖女に与えられる称号だが、双神様が私を星の聖女と呼んだのを皆が聞いており、先代の聖女よりどうやら人気に火がついたようだった。
陛下とヴィル司祭と共に教会を出ると、一般の方々が待ち構えており、フィンにあらかじめ言われた通り手を振ると皆が喜んでくれたのがわかった。
城ではパーティーが開かれ、私とフィンは夜から参加することになっていた。
それまでは、フィンの邸で休むことになり、フィンと騎士達と帰った。
「フィン、私とフィンの結婚を双神様が祝福してくれました。」
フィンに光がおりたことが嬉しく、思わずはしゃいでしまった。
「エスカ、こんなに嬉しいことはない。」
フィンも嬉しかったらしく部屋に帰ると騎士の顔から笑顔になり抱きしめてくれた。
「夜は好きなだけ着飾ってくれ。他のドレスがいいなら今すぐ買おう。」
「昨日買って頂いたドレスがいいです。フィンが選んでくれたから、」
「早くエスカのドレス姿が見たいな。だが、他の男とダンスはやめてくれ。」
「…ダンス?」
「夜会だからダンスはあるぞ。」
「…出来ません。」
二人の笑顔から沈黙が流れた。
ダンスなんてしたことなく絶対無理だと思った。
「なら、他の男と踊る心配はないな。」
うぅ、ごめんなさい、フィン。気を使わせてしまって、今度練習しないといけないわ。
「今度教えて下さい。」
「エスカ?なんだか前向きだな。悪い意味ではないんだが。」
「私、フィンの言っていたことがわかったんです。」
私は、聖女の認定の儀で双神様が微笑み、今までの自分を恥じたこと等あの時悟ったことを話した。
「そうか、やはり双神様は偉大だな。」
「だからもっと頑張りたくなりました。フィンと双神様のおかげです。」
フィンは自分のことのように喜び、今夜の夜会のマナー等を教えてくれた。
私は一生懸命聞いていた。
ドレスを着る時間になると使用人が来て、綺麗に着せ、髪もセットしてくれた。
「エスカ様お綺麗です。」
使用人が褒めてくれ、照れながらもお礼を言った。
部屋のドアを開けるとフィンが正装で待っており、ドキッとした。
騎士の正装とは違う紺色の正装にフィンは何を着ても格好いいと思った。
だが、フィンは動かず固まっていた。
「あの、フィン?私やっぱり変ですか?」
フィンは口に手を当て横を向いた。
やっぱり似合わなかったのかと不安になった。
「…すまん、あまりにエスカが綺麗で、その、」
フィンが動揺しているのが伝わりなんだか恥ずかしくなった。
「エスカ、行こう」
フィンは深呼吸し、手を差し出し、その手をとり夜会へ向かった。




