聖女認定の儀が1日伸びました
お茶を飲んだ後、祈りをしたかったが、祈りの間に行く気になれず、フィンも渋い顔をした。
祈りをするだけだから、場所は関係ないわ。と思いフィンの部屋のバルコニーにでて祈りをした。
祈りの間、フィンが後ろに控えてくれているのがわかり、二人で祈っている気分になった。
祈ると、やはり光が周りを回り、バルコニーから光が漏れていたらしい。
邸の外に出ていた騎士達も光を確認したと後から聞いた。
祈りが終わるとフィンが今日はもう寝ようと言ってくれた。
「ベッドはエスカが使ってくれ。俺はソファーで休むよ。気を使うのはなしだからな。」
フィンは私が譲ろうとするのがわかっていたようで先手を打たれてしまった。
「おやすみ、エスカ。」
「おやすみなさい。」
明日は聖女認定の儀で緊張しているはずなのにまたすぐに寝てしまった。
よく朝、ベッドの寝心地もよく、気持ちよく起きた。
朝の祈りをバルコニーで済ませ、フィンが朝食にしようと誘ってくれた。
食事に降りると、騎士団長がやってきた。
「おはようございます。エスカ殿。」
「おはようございます。」
「実は報告がありまして参上しました。」
こんな朝早くから報告なんて、今日の認定の儀のことかと思った。
「本日の認定の儀が明日に延期になりました。」
「団長、何かあったのですか?」
「エスカ殿の乙女の務めの金の問題を含め、司祭どもの不正が明らかになり、逮捕いたしました。それと、昨日のエスカ殿を侮辱したことが陛下の耳に入り、陛下が教会に苦言を申しました。よって、上位司祭三人は認定の儀ができず、昨日出迎えたヴィル司祭が行うことになりました。」
騎士団長の報告に唖然とした。
「団長、お伝えして頂きありがとうございます。」
「今日はエスカ殿とゆっくり休みなさい。」
騎士団長は報告すると忙しく帰って行った。
「エスカ、食事をしながら今日の予定を立てよう。」
昨日の今日で早すぎではと思い、食事中に聞いてみた。
「…実は、金の問題は以前から調べていたんだ。おそらく昨日のエスカを侮辱したことで陛下が認定の儀が終わるのを待たずに捕らえたんだろう。」
フィンは悟ったように話してくれた。
「昨日聖女を出迎えしない事も団長は気にしてたしな。」
「…大丈夫でしょうか?」
「自業自得だ。」
自分が偉くなったわけではなく、モヤモヤしたが、これからは立場があるとどこか頭をよぎった。
「そんなことより、今日は買い物をしないか?邸に持って越させるから好きなものを買ってくれ。」
「邸に来るんですか?」
「護衛のこともあるし、落ち着くまではあまり邸から出ない方がいいからな。」
そう言うとフィンは、ケントさんにいつもの、仕立て屋と宝石屋を呼んでくれ、と言った。
どうやらいつも来てくれているところがあることにビックリした。
やっぱり、フィンは王子様なんだ。




