王都の教会
王都につくと、教会にまっすぐに向かって行った。
「エスカ、疲れているだろうがまずは司祭様に挨拶に向かう。その後に家に帰ることにする。」
「司祭様も私が聖女だと思っていますでしょうか?」
「団長が使いの者を出していたから伝わっているはずだ。俺も団長達もエスカから離れないから心配しなくていい。」
私が聖女だと知って教会の方達はどんな反応をしたのかしら。
なんだか会うのが怖い。
馬車が停まりドアが開くとフィンが先におり、やっぱり手を出してエスコートしてくれた。
フィンの手に添えて馬車を降りるとびっくりした。
教会の方達や騎士達がズラリと並び出迎えていたのである。
あまりの光景に思わず怖くなり、フィンに寄り添ってしまった。
「エスカが嫌がるだろうと思って、団長がこのくらいの出迎えに抑えた。気にせずに行こう。」
私にとったら出迎え自体があり得ないことだった。
騎士団長をみると何故か怒っているように見える。
司祭の一人が前に出て、膝をつき挨拶をしてきた。
確かこの方はヴィル司祭様だ。4番か5番位の偉い方で真面目な方だった。
エレナ様達は融通が聞かないと嫌っていたような…。
「聖女エスカ様、よくぞお戻りになりました。我ら一同お待ちしておりました。」
「ありがとうございます。」
「お疲れで申し訳ありませんが司祭様方がお待ちです。」
「すぐにお伺いします。」
ヴィル司祭様が立つと、騎士団長が騎士達に掛け声をかけた。
「聖女エスカ殿が王都に戻られた。皆心して御守りするのだ!」
フィンや騎士達は、ハッ、と言い剣を前にして返事した。
ヴィル司祭様の後に私とフィンが歩きその後ろには騎士団長を筆頭に騎士達がついてきていた。
教会の中の双神様の像がある広い聖堂につくと司祭様三人がいた。
司祭様に膝をつき私は挨拶をした。
「ただいま戻りました。」
「エスカよく戻りました。双神様が現れたと伺いました。よく務めを果たしましたね。」
丁寧な口調だがあまりいい雰囲気に感じなかった。
すると騎士団長が司祭様に話し出した。
「我ら騎士一同、双神様の光を確認致しました。エスカ殿を御守りしたのも確認しております。」
騎士団長の言葉に三人の司祭は顔を合わせ、どこか苦々しい顔だった。
「明日は認定の儀が行われます。今日は教会で休みなさい。」
「騎士の方はお帰り頂いて結構ですよ。」
「そちらの騎士もエスカから離れるように。」
離れるようにと言われてフィンは怒った顔になった。
だが先に騎士団長が司祭様に言い返した。
「我ら騎士は聖女エスカ殿を御守りするために来ております。教会には任せられません。」
「失礼ではないか!」
「なんと無礼な!」
司祭様は三人とも騎士達を追い払いたいのか団長に言い返していた。
「司祭様!聖女エスカ殿の帰還であるにも関わらず何故出迎えをなさらないのか!無礼はそなた達であろう!」
出迎え?だから騎士団長は怒った顔をしていたのか。
騎士団長と司祭様達の怒号になんだか怖くなった。
その時、後ろの騎士達が動き出したのが見えた。
「止めよ!」
騎士達が脇により道を歩いてきた男が騎士団長と司祭様達を止めた。
周りは一斉に膝間ついた。
思わず私も膝間ついた。
「騎士団長、それくらいにしておけ。」
「しかし!陛下!」
「司祭達よ。聖女エスカは国が預かる。よって騎士達の保護下にする。よいな。まだ、教会は調査中だという事を忘れるでないぞ。」
この方が陛下。フィンの叔父様なのね。凄く威厳があるわ。
司祭様を一蹴した陛下は私の元にやってきた。
「聖女エスカ、よくぞ戻られた。大変な思いをされただろうが、今日はゆっくり休みなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
陛下は優しく声をかけて下さった。
少しフィンに似ているかな、と思ったりもした。
「さて、ワシは少し教会と明日やこれからの話がある。騎士団長も残りなさい。
それとフィン、お前も残りなさい。話はすぐに終わる。よいな。」
フィンはわかりました、と言った。
「エスカ、少しだけ待っててくれるか?すぐに終わるから。」
「はい、わかりました。」
フィンや騎士団長に数名の騎士を残し私と他の騎士達は聖堂から出た。




