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フィンは王子様


村人達にお礼を言った後、王都からの馬車に乗ることになった。

が、驚いた。

本当にこの馬車に乗っていいのかな。と不安になる程豪華な馬車だった。


「フィン、本当にこの馬車ですか?何かの間違いでは?」

「エスカの為に準備した馬車だ。さぁ、おいで。」


フィンが手を差し出し、エスコートをしてくれ恐る恐る馬車に乗った。

馬車の中も高そうなクッションがあり、村にきた時に乗った馬車とは全然違っていた。


馬車に乗り込みとフィンは隣に座った。

そして、フィンが騎士団長に声をかけると、騎士団長が出発の掛け声をかけ馬車は出発した。


「出発!」


力強い騎士団長の掛け声に騎士達は馬車を守るような陣形で馬を走らせた。


馬車の中でフィンと二人きりは緊張した。

しかもフィンはずっと手を握っている。


「エスカ、王都に帰ったら、俺の家で住もう。教会には帰らせたくない。かまわないか?」

「教会じゃなくていいのでしょうか?」

「どうせすぐに認定の儀が行われる。気にする事ない。」

「あの、フィンのお家の方は?」

「俺は一人っ子だし、両親は幼い頃に亡くなっているから。俺と使用人だけだ。」


使用人?やっぱりフィンは身分の高い方なんだわ。


「フィン、私貴方のことをあまり知らなくて、その…」


言いにくそうに聞くと、フィンはもっと言いにくそうな顔をしていた。


「気を使って欲しくないから言わなかったけど、俺は陛下の甥なんだ。」

「…甥?陛下の?」

「陛下は父上の兄君だ。」


まさか!王子様??


「フィン!王族なんですか?」

「そうなるな。」


頭が追い付かない!だって王子様に屋根の修理までさせたなんて!?


「すみません!知らなかったとは言え!?」

「エスカ、嫌いにならないでくれ!」

「嫌いになんてなりません!でも私となんか…」

「エスカ、そんな風に言わないでくれ。俺はエスカが好きなんだ。他の誰とも結婚したいと思わない。」

「…結婚できますか?」

「できる!もし双神が許さなくても戦ってでもエスカを手に入れるつもりだった。」


フィン!双神様と戦うつもりだったの!?


「エスカを大事にする。今まで辛かっただろうが他の事を考えず俺といてくれ。」


「陛下が反対するかもしれません。」

「関係ない。」

「私には何もありません。」

「乙女だろうが聖女だろうと関係ない。エスカがいいんだ。」


フィン、そこまで私を思っていてくれるなんて…。


「私もフィンがいてくれたらいいです。」

「エスカ、必ず幸せにする。」


フィンのその言葉で双神様に祈りを捧げているように温かい気持ちになるんです。


馬車の中でフィンはずっと抱き寄せてくれていた。


「ずっとこうしていたいな。」

「私もです。」


フィンの男らしい胸に持たれてずっと心臓の音が聞こえた。

力強く安心する音だった。


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