フィンは導かれた
フィンは私を抱き締めたままドアを見ていた。
「フィン?」
「いや…釘を刺されてしまったな、と」
やっぱりそんな感じでしたよね。
でも何を刺したのかしら。
「…大丈夫だ。結婚までは何もしないから。」
…っ、何も!?そういう意味ですか!?
思わずフィンから離れようとした。
「エスカ?何故離れる?」
離れるとフィンが後ろから抱き寄せ逃げられなかった。
「エスカ、俺が嫌か?」
「嫌じゃありません。けど、その、」
急に意識するとどうしていいのか、わからない!?
「エスカ、すぐに結婚しよう。勿論聖女認定の儀が終わった後になるが。」
「…結婚できますか?」
「勿論できる。聖女になれば祈りは王都でするようになるが、皆がエスカを狙い口説き始められたら困る。」
「聖女になっても誰もきませんよ。」
確かに聖女になれば、見習いの乙女と違い結婚は認められている。
でも誰が私ごときを口説くの?
「エスカは可愛いから聖女じゃなくても口説かれるのが心配だ。」
「そんな事を言ってくれるのはフィンだけです。」
「なら俺だけ見ててくれ。」
フィンは後ろから抱き締めたまま顔を近付けキスをしてきた。
「…何もしないと言いました。」
「これくらいなら大丈夫だ。それに、豊穣と加護の双神様も俺をエスカに導いた。きっと許して下さる。」
フィンに見つめられて、目をつむるとフィンはまたキスをした。




