私が聖女!?
家につき、騎士達に、ありがとうございましたと、言うと、ゆっくりお休みください、と礼をとった。
騎士団長達が私ごときに礼をとる必要はないのに。
「あの、今晩は騎士様達はこちらで休むのですか?」
「そうですが、何か不都合でも?」
「私がこちらで休みます。どうぞベッドを使って下さい。」
「何を言われるのです?我々はエスカ殿を御守りするのです。どうぞお気になさらず。」
どうぞと言われても気になるものは気になる。
「団長、エスカはまだよくわかっていないようです。」
「…明日の事も伝えてないのか?」
「すいません、まだ話してません。」
「なら俺から話そう。」
「いえ、俺から話します。」
「お前は他の事で頭が一杯のようだからな。俺から話す。」
フィンは渋々、騎士団長を寝室に入れた。
寝室にはベッドしか無いため、騎士団長はまた驚き、何もないな、と部屋を見渡した。
「すみません、ベッドはフィンが買って下さったんですがまだ椅子もテーブルも買ってなくて。」
「ベッドもなかったのか?」
「最初は家がボロ過ぎてドアも開かずエスカと二人家の前で野宿していました。」
「なんという事だ。」
「でもフィンが色々買って下さいましたし、天井もふさいで頂きました。」
ここを追い出されたら務めができないし、フィンと離れる事になるかもしれない。
「苦労されたのだな、フィンよくやってくれた。」
よくやった?まさかフィンはお役後免になるの?
思わずフィンの見ると、どうした?、と優しくベッドに降ろしてくれた。
「あのフィンは移動になるのですか?」
恐る恐る聞くと、フィンも騎士団長もポカンとした。
「エスカ、どうした?」
「…騎士様が一杯いて、その、フィンと交代するのかと…」
フィンがいなくなると思うと泣けてきた。
騎士の事に口出ししてはいけないと思うけど、今はフィンの側にいたかった。
「エスカ、泣くな。急に色んな事があったから思い詰めていたんだな。可哀想に。」
フィンは優しく抱き締めてくれた。
「エスカ殿、勘違いさせたようだが、フィンは護衛騎士のままです。今は特に側に置いときます。」
「本当ですか?」
「はい、どうぞ使って下さい。」
じゃあ、話とは何なのかしら?
「話とは、フィン共々明日エスカ殿を王都にお連れします。陛下と教会の元、聖女認定の儀が行われます。」
「認定の儀?選定の儀はまだまだ先では?」
「選定の儀はありません。聖女はエスカ殿です。」
「わ、私が…聖女!?」
何で?一体いつ聖女になったの??
「エスカ?」
「フィン、何かの間違いです!私ごときが聖女様なんてあり得ません!」
「エスカ殿、貴女が聖女で間違いありません。皆があの光を見ています。貴女が祈りを捧げた時にも光が現れました。」
「あの温かい優しい感じは星の乙女皆にあったのでは?」
「ありません。いつも感じていましたのですね?」
はい、感じてました。でも皆言わないだけで同じと思っていました。
「聖女が現れましたので星の乙女の務めは終わりです。よって、王都へ参ります。」
「あの、村はどうなりますか?皆よくしてくださいました。この村は医者もヒーラーもいなくて、困っていました。」
「しかし、エスカ殿をこちらにおいて置くわけには…」
私の言葉に騎士団長が困ってしまった。
「団長、エスカは困っている方を見捨てる事ができません。俺から叔父上に進言します。」
「ならフィンに任そう。」
「叔父上?」
「…ちゃんと話すよ。」
「では、今日はごゆっくりお休み下さい。フィン、後は頼むぞ。くれぐれもいいな!」
なんか最後、フィンに釘を刺したように凄んだような。
そう言うと騎士団長は外に行き、フィンと二人きりになった。
 




