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騎士フィン


オリビアさんは泣きつかれたのか、そのまま眠ってしまった。

本当は私も泣きたい程怖かったがフィンが来てくれると信じて泣くのを我慢した。


豊穣と加護の双神様、どうか私達を御守り下さい。


祈りの間ではないけど、きっと祈りが届くと信じて膝間付いて祈った。


「…の聖女…我らを…して…」


また声が聞こえる。

力強く、どこか優しい声だった。


目をつむったまま、声に傾けると、寝ていたはずのオリビアさんが驚いた声を出した。


「エスカ!?その光は!?」


目を開けると光が目の前にありとても優しく温かかった。

そしてどこかへと消えた。


わけのわからないことばかりでオリビアさんと肩を寄せあっていると、どのくらい時間がたったのか、商人らしき男と屈強な男二人がやってきた。


「星の乙女を二人とも早く連れていくんだ。」


商人らしき男は屈強な男二人に命令していた。


「離して下さい!」


二人はそれぞれ抵抗したが屈強な男の力にはかなわなかった。


このまま連れて行かれたらどうなるのか恐ろしく、助けて!と頭が一杯になった。


その時また光が現れた。

屈強な男達の拘束が緩み、オリビアさんを助けたく、オリビアさんを拘束している男におもいっきり体当たりした。


「星の聖女に触れるな…」


声はずっと聞こえていた。


「オリビアさん!先に逃げて下さい!」


オリビアさんは戸惑っていたが私が早く!、と言うと走り出した。


その時オリビアさんが逃げた階段とは反対の階段からエレナ様と中年の男がやってきた。

お父様とエレナ様が呼んでいるから、エレナ様の父親のバーンズ侯爵なのだとわかった。


「マズイぞ!フィン殿がやってきた!あの方に見られるとマズイ!」

「お父様!エスカを人質にとるのよ!」


その言葉にバーンズ侯爵は私を力任せに壁に叩きつけるように捕まえた。


「キャア!は、離して、下さい!」


悲鳴を聞き付けたのかエレナ様達がやってきた階段から騎士が現れた。


フィンだった。


「エスカ!」


フィンはバーンズ侯爵達に剣を向けた。


「何をしておられる!エレナ!バーンズ侯爵!エスカを離せ!!」


フィンは今にも斬りかかりそうだった。


エレナは、フィンに見られパニックになったのかナイフを私に振った。


「キャア!」


腕が切れ、バーンズ侯爵はワシまで斬る気か、と私を床に投げ捨てるように離した。


「エスカ!エスカ!」

「フィン!フィン!」


フィンは一目散に駆け寄ってきたが、私がフィンに手を伸ばした時、また声が聞こえた。


「我らの星の聖女…」


そして、光と共に砦が崩れ落ちた。


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