誘拐されたエスカ
「エスカ!エスカ!?」
誰かが呼んでいる声もする。
誰が呼んでいるの?
ゆっくりと目を覚ますとそこにいた顔には見覚えがあった。
「エスカ!しっかりして!」
「…オリビアさん?」
「よかった。目を覚ましたのね。」
なせオリビアさんがいるのか全くわからなかった。
そういえば私、エレナ様に…。
その時私はハッとした。
「ルディはどこです?私どうなって?」
「エスカもきっと誘拐されたのよ!?ルディって誰なの!?まさか誘拐犯の仲間!?」
「ち、違います。ルディはフィンと同じ騎士様で、…誘拐!?」
そういえば、サジタリアス村の星の乙女が誘拐されたと…。
「オリビアさんはサジタリアス村でしたよね?」
「そうよ!あの騎士がグルで私誘拐されたの!明日には私売られちゃうわ!」
売られる!?
まさか騎士様がグルなんて!?
オリビアさんは床に突っ伏して泣き始めた。
こんな所に閉じ込められて辛い思いをされたんだわ。
「オリビアさん、きっとすぐにフィンとルディが助けが来ます。」
「…誰?」
「護衛の騎士様です。」
「そいつらもグルじゃないの!?」
「フィンはそんな方ではありません。ルディもフィンの友人でとてもいい方です。」
オリビアさんは騎士様が信じられないのか泣き続けていた。
でもどうして私はここに?
オリビアさんは誘拐されたとしても私はエレナ様にナイフを突きつけられて…。
「オリビアさん、エレナさんを見ませんでしたか?」
「エレナ様?エレナ様は王都の祈りの間じゃないの?」
「いえ、それが昨日からカプリコーン村に来ていたんです。それで、その、私ナイフを突きつけられてしまいまして…」
「…どういうこと?」
「よくわかりません…」
でもナイフを出すくらい追い詰められていたのかしら。
フィンと結婚したくてここまで追いかけて来たのに…。
私のせいかもしれない。
「エスカ、村でもエレナ様にいじめられたの?」
いじめ、嫌な言葉だわ。
「私もエレナ様が怖くて一緒にあなたを無視したわ。ごめんなさい。きっと罰が当たったのね。」
オリビアさんはまた泣き出してしまった。
「…オリビアさん、フィンが助けに来てくれます。だから一緒に頑張りましょう。双神様も私達に加護を下さいます。」
「ごめんなさい、エスカ、」
泣いているオリビアさんの手にそっと添えるとオリビアさんはずっと謝り続けた。




