告白
ルディはエレナ様は借りている別荘に帰ったと話してくれた。
「俺も今日からここに住むよ。」
「ボロ家ですから。」
「ルディはエレナの護衛に行かないのか?」
「エレナは私兵を雇っているから大丈夫だ。」
「私の事は気になさらないで下さい。」
「フィンと二人がよかったかな。」
「そ、そういうわけでは。」
「そういえば、さっき村人が鍋ごとシチューを持ってきてくれたよ。三人でさっそく食べないか?」
この村の方達は優しいわ。ずっとここにいたい。そんな気持ちになった。
あまり食が進まず美味しいはずのシチューがあまり食べられなかった。
「今日はもう休もう。ルディ、エスカは早朝に祈りの間に行くから早く寝るぞ。」
フィンは急かすようにルディを部屋に連れて行った。
「俺が一人部屋なのか?」
「サジタリアス村の事もあるし、エスカを一人にはできないからな。」
ルディはフィンを見て、ふーん、という顔をした。
「意外と積極的だな。」
「うるさいぞ。」
二人のやり取りはよくわからないがフィンとは今日で最後なんだろうと思うと寂しくなった。
二人で部屋に行くとフィンが話がしたいと言ってきた。
お別れの話かと思うと、自分が思っていたのとは違った。
フィンは向かいに座り膝においてある手を握り話し始めた。
「エスカ、俺と結婚を前提に付き合ってほしい。勿論結婚は星の乙女の務めが終わるまで待つ。」
「…何のお話ですか?お別れの話は?」
「?、何の事だ?エスカと別れる事はないが。」
「エレナ様と帰るのでは?」
「…正直に言うと、ここにきたのはエレナから逃げて来たんだ。しつこくされて困っていたんだ。」
そういえば、王都の乙女と合わないって言ってたような気がする。
「エスカ、もしかして何か勘違いをしていたのか?」
「…私とお別れすると思っていました。だから辛くて、どうしていいのかわからず…」
「泣いていたのはエレナのせいだけではなかったのだな。俺が早く言わなかったせいか…すまない。」
「フィンは悪くありません。」
「なら返事をもらえないか?」
「私は身寄りのない孤児です。誰とも釣り合いません。」
「それは関係ないだろう。俺はエスカが好きなんだ。」
「わ、私は、」
いじめられるような人間なんです。と言おうと思ったが泣いてしまい言葉にならなかった。
「エスカ、君は他人を気遣える優しい人だ。俺は尊敬している。そんな風に悩まないでくれ。」
何も言わない私をフィンは優しく抱きしめてくれた。
「俺が嫌いか?一生大事にする自信はあるんだが。」
「…私なんかでいいんですか?」
「エスカがいいんだ。」
「フィンありがとうございます。」
「返事はイエスだな。」
「はい、私も大好きです。」
フィンは優しく頬にキスをし、眠るまでずっと手を握ってくれていた。




